よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


会議資料全体版 (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59938.html
出典情報 セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会(第4回 7/25)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

RIETI Discussion Paper Series 22-J-039
初版:2022 年 10 月
改訂版:2024 年 10 月

セルフメディケーション税制による薬剤費抑制効果の検証 *

西川浩平(関西大学経済学部)
大橋弘(東京大学大学院経済学研究科/経済産業研究所)





医師の処方に依らず、市販薬(OTC 医薬品)を活用して自身の健康を管理するセルフメディ
ケーションへの世界的な関心は高まっている。日本も医療医薬品からの転用であるスイッチ
OTC 医薬品の普及を目的とするセルフメディケーション税制を導入し、セルフメディケー
ションの促進、ひいては薬剤費抑制を目指している。他方で、この税制の財政的効果はこれ
まで検証されてこなかった。本稿では、セルフメディケーション税制が薬剤費に及ぼす影響
を、レセプトデータを用いて定量的に明らかにする。アレルギー性鼻炎薬市場を対象に、患
者の受診行動、医師の処方行動への影響を分析したところ、セルフメディケーション税制を
通じて、患者の受診頻度は 2.6%減少、医師の処方量は 1.8%増加したことが示された。さら
に、セルフメディケーション税制が導入されなかったとするシミュレーションを通じて、薬
剤費への影響を詳細に検証したところ、医師の処方の変化により、薬剤費が 1.5%増大した
ことを示す結果が得られた。しかし、患者の受診頻度の減少による薬剤費の変化分を含む、
全体としてのセルフメディケーション税制の薬剤費抑制効果を試算したところ、同税制を通
じて−0.26%の抑制を実現したことが明らかとなった。
キーワード:セルフメディケーション税制、薬剤費抑制、アレルギー性鼻炎薬市場
JEL classification: C25、I18、L65
RIETI ディスカッション・ペーパーは、専門論文の形式でまとめられた研究成果を公開し、活発
な議論を喚起することを目的としています。論文に述べられている見解は執筆者個人の責任で発表
するものであり、所属する組織及び(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありませ
ん。

*本稿は、独立行政法人経済産業研究所(RIETI)におけるプロジェクト「産業組織に関する基盤的政策研究」の成果
の一部である。本稿の分析に当たっては、RIETI 提供によるレセプトデータを利用した。