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会議資料全体版 (48 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59938.html |
出典情報 | セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会(第4回 7/25)《厚生労働省》 |
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えば、製薬会社が今後の市場規模の縮小(人口減少、スイッチ OTC の普及など)を予想
し、現在のシェアを維持するため、実勢価格を下げるよう行動すれば、市場の実勢価格の
低下は薬価の下落を促すため、今後の市場予測と正の相関をもつ。今回の結果については、
このような市場予測を反映したものと理解できるため、(3)、(4)の結果が妥当と考えられ
る。
薬価差益については、(1)で正、(2)~(4)で負の推定値となった。薬価差益の推定値が負
ということは、医師は他の条件が同じであれば、自身の利益の少ないアレルギー性鼻炎薬
を処方する状況を示すため、直感とは異なる結果といえる。ただし、(2)~(4)の推定値は
統計的に有意ではないため、医師の処方において薬価差益が影響を及ぼしているとはいえ
ない。表 1 で見た通り、アレルギー性鼻炎薬は大半の成分でジェネリック版が上市されて
いるため、ブランド医薬品でも薬価が十分に下がり、薬価差益も小さい状況にある。した
がって、アレルギー性鼻炎薬においては、医師が薬価差益を意識した処方を行っていない
可能性は十分に考えられる。
次に、本稿の最も関心のある変数である政策ダミーの推定値をみると、政策ダミーは正
かつ統計的に有意と、セルフメディケーション税制はアレルギー性鼻炎薬の処方を押し上
げたことを示す結果が得られた。さらに、この医師の処方量の増大における診療所の追加
的な効果を確認するため、モデル(4)の政策ダミー×診療所ダミーに注目すると、こちらも
正かつ統計的に有意な推定値が得られた。
グループ内シェア、サブグループ内シェアの推定値については、理論的に0 < 𝜎𝜎2 < 𝜎𝜎1 <
1を満たす必要がある(Verboven, 1996)
。操作変数を用いないモデル(2)では上記の不等式
を満たしていないものの、内生性を考慮した(3)、(4)の推定値はいずれも理論と整合し、
統計的にも有意である。同変数は 1 に近いほど(サブ)グループ間よりも(サブ)グルー
プ内での代替が強い状況を示す。例えば、アレルギー性鼻炎薬市場において、何らかの政
策でエバステル(第 2 世代の抗ヒスタミン薬で成分はエバスチン)の薬価のみ増大した場
合、同じ抗ヒスタミン薬の第 2 世代で、かつ同じエバスチンを成分とする治療剤(例えば、
エバステルのジェネリック版)への切り替えが起きやすいことを示す。
最後に、他の変数の推定結果を(3)に基づき確認していく。花粉飛散量の推定値は正かつ
統計的に有意であり、飛散量の増大とともに医薬品の処方が増大することが分かる。タイ
ムトレンドについては負かつ統計的に有意であるため、アレルギー性鼻炎で受診した患者
への保険適用薬の処方量は減少傾向にあることを示す。製品属性に目を向けると、上市後
の経過月数、ブランド医薬品ダミーで統計的に有意な結果が得られており、新しい治療剤、
先発して販売された医薬品への医師の評価が高いことを示唆する。
診療所ダミーについては正かつ統計的に有意な推定値が得られた。この結果については、
医療サービスの提供が自身の収入につながりやすい診療所において、病院よりもアレルギ
ー性鼻炎薬を処方する傾向を示すため、診療所における誘発需要の存在を示唆するといえ
る。70 歳以上グループダミーの推定値は負かつ統計的に有意なため、70 歳未満のグループ
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し、現在のシェアを維持するため、実勢価格を下げるよう行動すれば、市場の実勢価格の
低下は薬価の下落を促すため、今後の市場予測と正の相関をもつ。今回の結果については、
このような市場予測を反映したものと理解できるため、(3)、(4)の結果が妥当と考えられ
る。
薬価差益については、(1)で正、(2)~(4)で負の推定値となった。薬価差益の推定値が負
ということは、医師は他の条件が同じであれば、自身の利益の少ないアレルギー性鼻炎薬
を処方する状況を示すため、直感とは異なる結果といえる。ただし、(2)~(4)の推定値は
統計的に有意ではないため、医師の処方において薬価差益が影響を及ぼしているとはいえ
ない。表 1 で見た通り、アレルギー性鼻炎薬は大半の成分でジェネリック版が上市されて
いるため、ブランド医薬品でも薬価が十分に下がり、薬価差益も小さい状況にある。した
がって、アレルギー性鼻炎薬においては、医師が薬価差益を意識した処方を行っていない
可能性は十分に考えられる。
次に、本稿の最も関心のある変数である政策ダミーの推定値をみると、政策ダミーは正
かつ統計的に有意と、セルフメディケーション税制はアレルギー性鼻炎薬の処方を押し上
げたことを示す結果が得られた。さらに、この医師の処方量の増大における診療所の追加
的な効果を確認するため、モデル(4)の政策ダミー×診療所ダミーに注目すると、こちらも
正かつ統計的に有意な推定値が得られた。
グループ内シェア、サブグループ内シェアの推定値については、理論的に0 < 𝜎𝜎2 < 𝜎𝜎1 <
1を満たす必要がある(Verboven, 1996)
。操作変数を用いないモデル(2)では上記の不等式
を満たしていないものの、内生性を考慮した(3)、(4)の推定値はいずれも理論と整合し、
統計的にも有意である。同変数は 1 に近いほど(サブ)グループ間よりも(サブ)グルー
プ内での代替が強い状況を示す。例えば、アレルギー性鼻炎薬市場において、何らかの政
策でエバステル(第 2 世代の抗ヒスタミン薬で成分はエバスチン)の薬価のみ増大した場
合、同じ抗ヒスタミン薬の第 2 世代で、かつ同じエバスチンを成分とする治療剤(例えば、
エバステルのジェネリック版)への切り替えが起きやすいことを示す。
最後に、他の変数の推定結果を(3)に基づき確認していく。花粉飛散量の推定値は正かつ
統計的に有意であり、飛散量の増大とともに医薬品の処方が増大することが分かる。タイ
ムトレンドについては負かつ統計的に有意であるため、アレルギー性鼻炎で受診した患者
への保険適用薬の処方量は減少傾向にあることを示す。製品属性に目を向けると、上市後
の経過月数、ブランド医薬品ダミーで統計的に有意な結果が得られており、新しい治療剤、
先発して販売された医薬品への医師の評価が高いことを示唆する。
診療所ダミーについては正かつ統計的に有意な推定値が得られた。この結果については、
医療サービスの提供が自身の収入につながりやすい診療所において、病院よりもアレルギ
ー性鼻炎薬を処方する傾向を示すため、診療所における誘発需要の存在を示唆するといえ
る。70 歳以上グループダミーの推定値は負かつ統計的に有意なため、70 歳未満のグループ
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