評価されており、薬剤師による相互作用の防止が可能である。
• 医療用製剤は患者背景により 5mg、10mg、20mg の 3 用量を使い分
けているが、タダラフィルの通常処方用量は 10mg である。OTC 化
は 10mg の一用量とし、且つ、重度の肝障害や中等度又は重度の腎
障害のある人は服用禁忌とする。10mg で効果が得られない場合は
服用を中止し、薬剤師は医療機関への受診勧奨を行う。よって、医
師による薬剤選択や用量調整等（他剤との併用も含む）を必要とし
ない医薬品である。
2.

ED 診療ガイドライン（第 3 版）では、「ED とは、満足な性行為を行
うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続ま
たは再発すること」と定義されており、ED の症状は自己判断が可能
である。ED の診断ツールとして有効性が確認されている単一の質問
を用いた使用者の購入前チェックシートの中で勃起機能に関する質
問を行うことで自己の症状を確認することが可能である 26) 。実臨床に
おいても、ED の診断は主に患者への問診に基づいている。または、
IIEF-5（International Index of Erectile Function-5）に基づいた自己記入
式の質問票が性行為の際に勃起し、パートナーに挿入可能かどうか、
挿入後も勃起を維持できるか判定するために広く用いられている。ま
た、ED は ED 治療薬をいつ使用するか、いつ使用を中止するかを独
自に判断することが可能な疾患であり、タダラフィルは必要に応じて
性行為前においてのみ使用する医薬品である。

3.

心血管疾患（Cardiovascular disease：CVD）の前兆とされる ED の意義
は重要である。男性は、ED の症状が CVD の兆候を示している可能性
があることに必ずしも気づかないことがあり、そのために医師の診察
を受けられないことがある。訓練を受けた医療専門家である薬剤師に
相談すれば、OTC 薬の購入を通じて貴重な教育やアドバイスを受け
る機会を得ることができる。また、薬剤師が患者向け情報提供資料を
用いて使用者の状態を評価し、医師への受診勧奨をすることによって
CVD とその危険因子の早期診断及びその治療のきっかけになること
が期待される。既に PDE5 阻害薬が OTC 化されている英国において
は、OTC の PDE5 阻害薬が入手可能になったことで ED 患者にとって
CVD などの疾患認知度が高まり、CVD をチェックするための医療機
関への受診など医師への相談機会が増え、結果的に重要な基礎疾患を
診断する機会が増えたことが前向き観察研究の結果として報告され
ている 27) 。

4.

タダラフィルは、催淫剤又は性欲増進剤ではなく、習慣性や依存性は
報告されていない。また参考情報として、英国での OTC バイアグラ
の発売（2018 年）以降、性犯罪の予想外な増加は認められていない。
OTC バイアグラへのアクセス増加に伴う性犯罪の増加に関する出版

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