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提案書10(1802頁~2002頁)医療技術評価・再評価提案書 (47 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

日本産科婦人科内視鏡学会の産婦人科内視鏡手術ガイドラインでは、子宮対がんに対する治療法としてロボット支援手術は適切な症例選択のもと
では開腹手術とならぶ選択肢として推奨するとなっている。ロボット支援手術は腹腔鏡手術と比べて、開腹移行率、合併症、出血量、入院期間に
優れており、手術時間、輸血率、リンパ節摘出数は同等である。また、ロボット支援手術と開腹手術とを比較して傍大動脈リンパ節数は同等であ
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 り、手術時間は延長するが、出血量、輸血率、合併症、入院期間は優れている。また、子宮体がんに多い肥満患者に対しては、開腹手術と比較す
後等のアウトカム
ると、手術時間、リンパ節摘出数には差はないが、入院期間、合併症、出血量は優れていた(参考文献3,4)。高齢患者おいて開腹術と比較する
と、入院期間の短縮、出血量、輸血率の減少が優れていた(参考文献5)。これらの背景から現在改訂中の日本婦人科腫瘍学会の子宮体がん治療
ガイドラインにおいてⅠ期、Ⅱ期に対して推奨、提案することが記載される予定である。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

適切な症例選択のもとで行われるロボット支援手術は開腹手術と並ぶ選択肢として推奨す
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す る(産婦人科内視鏡手術ガイドライン2019年版、日本産科婦人科内視鏡学会)。
る。)
子宮体癌治療ガイドライン2023年版(改訂中、日本婦人科腫瘍学会)にⅠ期に対して推
奨、Ⅱ期に対して提案することが記載される予定である。

再評価によって対象患者数や実施回数が大きく変化するものではないが、ロボット手術の普及が急速に進んでいることから増えると見込まれる。

見直し前の症例数(人)

1,000人

見直し後の症例数(人)

1,500人

見直し前の回数(回)

300回

見直し後の回数(回)

800回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

前述のとおり、日本産科婦人科内視鏡学会の産婦人科内視鏡手術ガイドラインにおいて、子宮体がんにおいてロボット支援手術は開腹手術と並ぶ
選択肢として推奨されている。骨盤内リンパ節郭清を含む子宮体がん手術は保険診療で日常的に行われており、婦人科におけるロボット支援下手
術の普及が進んできていることから、技術的にも十分に成熟していると考えられる。現在、ロボット支援下婦人科悪性腫瘍手術は日本産科婦人科
学会の定めた『婦人科悪性腫瘍に対するロボット支援下手術に関する指針』に基づいて実施されており、婦人科腫瘍専門医と内視鏡技術認定医が
必須条件となっている。また安全性の担保のため、NCDへの全例前向き登録を行っている。外保連試案での難易度はDである。

施設の要件
(1) 産婦人科又は婦人科を標榜している保険医療機関であること。(2) 子宮悪性腫瘍に対する手術が1年間に15例以上実施されていること。 (3)
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 緊急手術体制が可能な体制を有していること。(4)当該療養に用いる機器について、適切に保守管理がなされていること。
制等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

(1) 産婦人科又は婦人科について合わせて5年以上の経験を有し、開腹の子宮悪性腫瘍手術(区分番号「K879」)について20例以上実施した経
人的配置の要件
験、及び当該療養について術者として5例以上実施した経験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること。 (2) 産婦人科において常勤の医
(医師、看護師等の職種や人数、専門 師2名を有し、いずれも産婦人科について専門の知識及び5年以上の経験を有すること。 (3) 常勤の麻酔科標榜医及び病理医が配置されているこ
性や経験年数等)
と。(4)常勤の臨床工学技士が1名以上配置されていること。

(1)薬事要項に定めるトレーニングコースを受講し、個人名で使用許可証を取得すること。(2)関係学会から示されている指針、特に前述の日
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 本産科婦人科学会の指針に基づき、当該手術が適切に実施されていること。(3)関係学会のガイドラインを遵守すること。(4)NCDの登録制度
に基づき、症例前向き登録を実施すること。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

ロボット支援手術は腹腔鏡手術と比べて、開腹移行率、合併症、出血量、入院期間に優れており、手術時間、輸血率、リンパ節摘出数は同等であ
り、開腹術においては手術時間が長くなるが肥満患者や高齢者においての安全性が知られている。そのなかで最も危惧すべき合併症は術中の大量
出血であり、その際には緊急開腹手術への移行が必要となる。その確率は1%未満と考えられるが、手術チームとして緊急開腹の訓練をおこなって
おくこと、開腹セットを手術室に常備することが必要である。導入当初の合併症を早期に把握するため、現在、多くのロボット支援下手術で導入
されている前向きレジストリに本術式も参加することが望ましい。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前

70,200

見直し後

159,807

その根拠

子宮体がんに対する骨盤リンパ節郭清術までの腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術よりも実施時間が長い等から89.607点の増点とした。

区分

特になし

その他(右欄に記載。)

番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし
増(+)

プラスマイナス
予想影響額(円)

288,000,000円
現在かかっている医療費:約141万円/年
●K879 子宮悪性腫瘍手術;手術費用81万円(麻酔込み)+入院費60万円(1日4万円×15日)=141万円/年

⑩予想影響額

その根拠

当該技術導入後の医療費:約177万円/年
●手術費用161万円(麻酔込み)+入院費16万円(1日4万円×4日)=177万円/年
影響額

備考

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

177万円-141万円=36万円

年間800回実施として総計288,000,000円

ただし、早期社会復帰による社会的利益や合併症の少なさによる医療費の低減を考慮するとロボット支援下手術はより有利である。

特になし

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