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提案書10(1802頁~2002頁)医療技術評価・再評価提案書 (104 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

328104
小児脳MRS加算
日本磁気共鳴医学会
22小児科
38その他(診療科名を右の空欄に記載する。)

新生児科

38その他(診療科名を右の空欄に記載する。)

小児神経科、児童精神科

関連する診療科(2つまで)

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)

令和4年度

「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する

小児脳MRS加算



追加のエビデンスの有無

提案される医療技術の概要
(200字以内)

文字数: 198
対象疾患名

保険収載が必要な理由
(300字以内)

文字数: 298

臨床MRI装置で磁場調整用コイルと専用のシーケンスを用い、脳内細胞活動や代謝に関連する微量代謝物をin vivoで測定す
る技術。対象部位ごとの代謝物スペクトルつまり波形が得られる。
新生児低酸素性虚血性脳症ではいつ撮像しても他の指標に比べ非常に高い予後予測能を持ち(文献1,2)、拡散強調像の
ADC値は検査施行の多い生後1週以降では予測能不良である(文献5※)。
「追加のエビデンスには※を付記」
新生児脳症(低酸素性虚血性脳症を含む)と18才未満の小児神経代謝変性疾患
MRSはMRI装置にて非侵襲的に生体内代謝物を測定する技術である。専用シ-ケンスと磁場均一性のための補助コイルの整備
コストがかかる上に、検査時間が15-30分程度以上は延長する。技術的・診断学的に高難度であり、本邦では必要な状況で
適切に使われているとは言い難い。普及を促す意味でも技術に見合うインセンティブが望まれる。新生児低酸素性脳症(仮
死)の予後予測では各種MRI所見や臨床検査所見の中でMRSが最も高い予後予測能も持つことが証明されており、また、治療
法のある小児稀少神経代謝疾患の中にはMRSがないと診断困難な病態が知られている。早期診断のための臨床応用を促すた
めにも保険収載が求められる。

【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

新生児脳症(低酸素性虚血性脳症を含む)
発達遅滞、退行、けいれん、意識障害等で発症する18才未満の小児神経代謝変性疾患を疑う症例

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

臨床MRI装置(1.5T以上)にて通常の検査時に追加して、物質分析の手法でもあるMR Spectroscopy(MRS)を専用のシーケン
スを用いて取得、細胞の代謝活動を調べる。MRI検査に付加して非侵襲的に施行することができる。診断のためには原則と
して1回の施行で十分であるが、治療効果などの病勢評価のために複数回の取得をする場合はあり得る。

区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)

その他(右欄に記載する。)
E202
E200 D004 4 D235
MRI撮影 CT撮影 髄液一般検査 脳波検査

番号
医療技術名

既存の治療法・検査法等の内容

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果

D、E

CT・MRIでは、新生児脳症や神経代謝疾患による脳実質の形態変化、信号および吸収値変化、MRIでは血流・灌流および拡散
変化をを描出するが、疾患特異性としては不十分なことが多い。損傷や先天性代謝異常の結果としての脳内代謝物変化を直
接測定することはできない。
髄液検査では、脳の変化による髄液組成の変化を検知するが、脳実質そのものの変化ではなく2次的に髄液に漏出/滲出した
値であり、検出できない代謝物もある上に、検査そのものが侵襲的手技である。
脳波検査では、脳活動の異常を電位的な波型として検出するが特異性に劣り、脳代謝の変化を直接検出することはできな
い。
新生児の低酸素性虚血性脳症に関しては72時間の低体温療法が標準治療として広く行われ予後改善に寄与しているが、依然
として予後不良例は存在している。出生早期の時点での将来的な神経予後予測として、MRSが最も優れることはここ数年で
エビデンスとして確立した(文献1,2,5)。できるだけ正確に予後を予測し対応することは治療戦略として必要であり、対
象児及び家族にとって有益であるばかりでなく、医療経済にも寄与する。
また、小児神経代謝疾患ではMRIの画像だけでは診断できず、MRSを追加することによって診断できる希少疾患が存在し、
多数の文献でその有用性が示されている(文献3.4)。これらの疾患の中には、代謝異常をコントロールすることにより治
療可能な疾患があり、病態のモニタリングとしても使用できることが知られている。MRSは早期治療が奏功する可能性のあ
る診断困難希少疾患の早期診断に寄与でき、診断遅延による侵襲的検査を含む余分な検査や繰り返し、診断遅延による重症
化から来る医療費および社会的コスト増加の抑止にも寄与できる。
低体温療法を施行した新生児低酸素性脳症223症例の多施設前向き研究の結果、予後予測において、MRSにて測定される神経
細胞活動の指標であるNAAの視床における絶対値が敏感度100%、特異度97%(AUC:0.99)、乳酸/MAA値が敏感度88%特異度
90%(AUC:0.94)といずれも非常に高く、拡散強調像などの他の予後予測能を上回った。(Lancet Neurol 2019)
2a

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

1905

日本磁気共鳴医学会プロジェクト研究 Proton MRS の臨床有用性
検討会によるProton MRS の臨床有用性コンセンサスガイド 2013
年度版では、通常認められるピークが欠損する神経代謝疾患では
強く推奨、通常存在しないピークが存在する神経代謝疾患では推
奨となっている。