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資料1-2-15診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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276 軟骨無形成症
○ 概要
1.概要
軟骨無形成症は四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患の代表で、およそ2万出生に1人の割合で
発生する。特徴的な身体所見と X 線像から診断は容易であるが有効な治療法はない。成人身長は男性
で約 130cm、女性で約 125cm124cm と低く著明な四肢短縮のため、患者は日常生活で様々な制約をう
ける。脊柱管狭窄のため中高年になると両下肢麻痺を呈したり、下肢アライメントの異常による変形性
関節症を発症し歩行障害を生じたりすることが少なくない。
2.原因
原因遺伝子は染色体領域 4p16.3 に存在する FGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)である。遺伝様
式は常染色体優性遺伝であるが、約 90%以上は新規突然変異によるものとされ、健康な両親から生ま
れる。患者の 95%に FGFR3 の G380R 点変異(380 番目のグリシンがアルギニンに置換される変異)を
みとめる。FGFR3 の構造は、細胞外領域、膜貫通領域、細胞内領域(チロシンキナーゼドメインを含む)
の3つの部分に分けられるが、本症の点変異は膜貫通領域に存在する。一方、同じ FGFR3 のチロシン
キナーゼドメインに存在する点変異(N540K 点変異が代表的)では軟骨低形成症となる。FGFR3 のシグ
ナルは軟骨細胞の増殖に対し抑制的に作用するが、本症の原因となる変異型 FGFR3 は受容体シグナ
ルが恒常的に活性化される機能獲得型変異であり、軟骨細胞の分化が促進され内軟骨性骨化の異常
を来し長管骨の成長障害、頭蓋底の低形成などを生じると考えられている。
3.症状
出生時から四肢短縮を認めるが、出生身長は、さほど小さくはない。成長とともに低身長が目立つよう
になり、成長期の身長増加は小さい。成人身長は男性で約 130cm、女性で約 125cm である。顔貌の特
徴は出生時からみられる。乳幼児期(3歳頃まで)に問題になるのは、大孔狭窄及び頭蓋底の低形成に
よる症状である。大孔狭窄では延髄や上位頸髄の圧迫により、頚部の屈曲制限、後弓反張、四肢麻痺、
深部腱反射の亢進、下肢のクローヌス、中枢性無呼吸がみられる。水頭症も2歳までに生じる可能性が
もっとも高い。無呼吸、呼吸障害は中枢性と鼻咽頭狭窄による閉塞性の要因から生じる。胸郭の低形成
が高度な場合、拘束性肺疾患や呼吸器感染症の反復、重症化も問題になる。中耳炎の罹患も多く、本
症の約 90%で2歳までに発症する。多くは慢性中耳炎に移行し、30~40%で伝音性難聴を伴う。脊柱管
狭窄は必発であり、小児期に症状が発現することはまれであるが、成長とともに狭窄が増強し、しびれ、
脱力、間欠性跛行、下肢麻痺、神経因性膀胱による排尿障害などを呈することが多い。側彎や亀背など
の脊柱障害や、腰痛、下肢痛もしばしばみられる。乳児期に運動発達の遅延はあるが知能は正常であ
る。このほか、咬合不整、歯列不整がみられる。

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