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資料1-2-15診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (52 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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290 非特異性多発性小腸潰瘍症
○ 概要
1.概要
非特異性多発性小腸潰瘍症は、若年時に発症する原因不明の小腸潰瘍症である。本症では、非特異的
な組織像を呈する浅い潰瘍が終末回腸以外の回腸小腸に多発する。小腸病変の肉眼所見は極めて特徴
的であり、輪走ないし斜走稀な疾患である。エクソーム解析からプロスタグランジン輸送体をコードする

SLCO2A1 遺伝子の変異を原因とする帯状の潰瘍遺伝性疾患であることが枝分かれ、あるいは融合しなが
ら多発する。臨床像としては、明らかとなった。慢性の鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を主徴とし、炎症所見は
ないか軽微にとどまる。これらばち指、皮膚肥厚や骨膜症などの症状消化管外徴候を伴うこともある。小腸
病変の肉眼所見は輪走ないし斜走する帯状の潰瘍が枝分かれ、あるいは融合しながら多発する。中心静
脈栄養量法栄養療法以外のあらゆる治療法に抵抗性にであり、難治性の経過する。常染色体劣性遺伝の
形式で発症する症例が存在することから、遺伝性疾患である可能性が示唆されるをたどる。
2.原因
長らく原因は不明であったが、両親の血族結婚例と家族性発姉妹発症例があり遺伝子あることから常染
色体劣性遺伝形式を示す遺伝性疾患が疑われていた。近年の Whole exome analysis エクソーム解析によ
って、プロスタグランジン輸送タンパクのひとつである SLCO2A1 遺伝子輸送体の変異による機能喪失によ
る常染色体劣性遺伝病でが本症の発症に強く関連することが示された。男女差があることが示唆されてい
るから、発症には性ホルモンや環境要因などの影響もあると考えられている。
3.症状
若年潰瘍性病変からの持続的な出血による鉄欠乏性貧血、低蛋白血症を呈し、呈する。小腸潰瘍以外
に、胃や十二指腸・小腸の難治性潰瘍を形成することもある。消化管外徴候として、ばち指、皮膚肥厚や骨
膜症などの肥厚性皮膚骨膜症の症状を認めることがある。
4.治療法
治療法は、鉄剤投与や輸血などの対処療法と栄養状態改善のための経腸栄養療法のみが行われる。
中心静脈栄養療法は奏功するが、長期経過例である。は腸管狭窄による症状がある場合は対して、外科
手術も行われるが必要になることがある。根治療法はない。
5.予後
慢性に続くの貧血・や低蛋白血症のため著しい QOL の低下、低栄養に伴う易感染性のリスクがある。ま
た、腸管切除例では小腸機能不全症に至るリスクがある。生命予後に関するデータはない。

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