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資料1-2-15診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (34 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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異常のみを示す症例もしばしば存在する。急に大量に出血して貧血、出血性ショックを起こすこともある。
特に、死亡例の半数は頭蓋内出血が原因であるので注意が必要である。従来、出血は軽度と考えられ
てきたが、重症出血も少なくない。
5) 自己免疫性後天性 FX/10 欠乏症は、粘膜・皮下出血など何らかの出血症状を呈することが多く、血尿
や下血の頻度が高い。重症型出血性疾患に分類され、咽頭周囲の血腫により気道圧迫が危惧された症
例の報告もあるので要注意である。他の自己免疫性後天性凝固因子欠乏症に比べると症例の平均年齢
はやや低く、小児を含めた若年者にも発生することがあることに留意する必要がある。なお、男性に多い
傾向がある(男女比 3:1)。
4.治療法
A.止血療法
救命のためには、まずどの凝固因子が著減しているかを確認してから、可及的速やかに凝固因子補
充療法を主体とする止血療法を実施する必要がある。
1) 自己免疫性後天性 FXIII/13 欠乏症では、止血のために FXIII/13 濃縮製剤を静注することが必要で
ある。ただし、自己抗体によるインヒビターや免疫複合体除去亢進があるので、投与した FXIII/13 製
剤が著しく短時間で効果を失うため、止血するまで投与薬の増量、追加を試みるべきである。
2) 自己免疫性後天性 FVIII/8 欠乏症では、活動性出血に対して速やかに止血薬を投与する必要があ
る。ただし、高力価のインヒビターが存在する場合は FVIII/8 補充療法には反応しないことが多いの
で、活性化第 VII//7 因子(FVII/7)又は活性化プロトロンビン複合体製剤を投与する(バイパス止血療
法)。
3) 自己免疫性後天性 VWF 欠乏症では、止血のために DDAVP(1-desamino-8-D-arginine
vasopressin)又は VWF 含有凝固 FVIII/8 濃縮製剤を投与するが、症例の自己抗体の量や性質によっ
て VWF の回収率と半減期が大きく異なるので、それぞれの症例の症状・臨床的効果に合った個別化
治療が必要である。
4) 自己免疫性後天性 FV/5 欠乏症では、活動性出血に対して速やかに止血薬を投与する必要があ
る。ただし、FV/5 濃縮製剤は市販されていないので、新鮮凍結血漿又は濃厚血小板(FV/5 を顆粒中
に含む)などを投与することが多い。活動性出血が無い症例でも、後日出血傾向が出現する可能性が
あるので長期にわたって綿密な経過観察が必要である。
5) 自己免疫性後天性 FX/10 欠乏症では、活動性出血に対して速やかに止血薬を投与する必要があ
る。ただし、我が国では FX/10 濃縮製剤は市販されていないので、出血時に PCC(プロトロンビン複合
体濃縮製剤)、活性型 PCC などを投与するのが原則である。自己抗体による活性阻害やクリアランス
亢進のため止血効果は限定的となることがあるので要注意である。緊急の場合は新鮮凍結血漿で代
替しても良い。理論的には FX/10 単独製剤が望ましいが、わが国では市販されていないので、FX/10
とその 1/10 量の活性型第 VII/7 因子(FVII/7)を含有する活性型第 FVII/7・FX/10 複合製剤の投与が
次善の選択である。

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