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資料1-2-15診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (33 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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288 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症
○ 概要
1.概要
血液凝固因子が自己抗体の有害作用によって後天性に著減するために、止血栓の形成が不良となった
り、物理的抵抗性、抗線溶性が減弱するために、自発性又は止血負荷に際して重度出血症状を呈する疾
病である。
理論的には、すべての血液凝固因子に対して自己抗体が生じうる。ここでは、欠乏する凝固因子の種類
により、1)「自己免疫性後天性凝固第 XIII/13 因子(FXIII/13)欠乏症(旧称:自己免疫性出血病 XIII)」、
2)「自己免疫性後天性凝固第 VIII/8 因子(FVIII/8)欠乏症(後天性血友病 A)」、3)「自己免疫性後天性
von Willebrand factor(VWF)欠乏症(自己免疫性後天性 von Willebrand Disease(VWD))」、4)「自己免疫性
後天性凝固第 V/5 因子(FV/5)欠乏症(いわゆる FV/5 インヒビター)」、5) 「自己免疫性後天性凝固第 X
/10 因子(FX/10)欠乏症」の 5 疾病を対象とする。
2.原因
自己抗体によるそれぞれの標的凝固因子の活性阻害(いわゆるインヒビター)や、自己抗体と標的凝固
因子との免疫複合体が迅速に除去されるために各凝固因子が減少すること(クリアランス亢進)が、出血の
原因となる場合が多いと推測される。多彩な基礎疾患・病態(他の自己免疫性疾患、腫瘍性疾患、感染症
など)、妊娠/分娩を伴っているが、症例の約半数は特発性である。後天的に自己抗体が生じる原因は不
明であるが、多因子疾患で、高齢者に多いことから加齢もその一因と思われる。
3.症状
1) 自己免疫性後天性 FXIII/13 欠乏症では、一般的な凝固時間検査(prothrombin time; PT、activated
partial thromboplastin time; APTT など)の値は基準範囲にあるにもかかわらず、突然出血する。多発性
の軟部組織(筋肉・皮下など)の出血が多いが、どの部位にでも出血する可能性がある。急に大量出血
するので貧血を呈することが多く、出血性ショックを起こすこともある。出血部位によって様々な症状(コン
パートメント症候群や気道圧迫などの合併症)が起きる可能性がある。特に頭蓋内出血、胸腔内出血、
腹腔内出血、後腹膜出血などは、致命的となりうる。
2) 自己免疫性後天性 FVIII/8 欠乏症でも、出血症状が重篤なものが多く、突然広範な皮下出血や筋肉
内出血を多発することが多いが、血友病A(遺伝性 FVIII/8 欠乏症)と異なり、関節内出血はまれである。
特に、頭蓋内、胸腔内、腹腔内出血や後腹膜出血などは、致命的となり得るので注意が必要である。
3) 自己免疫性後天性 VWF 欠乏症の出血症状は、極めて多彩である。症例は、軽症から致死性のものま
で種々の重症度の出血症状を突然発症するが、まれに検査上の異常のみを示す症例も存在する。急に
大量出血して貧血、出血性ショックを起こすことがある。特に頭蓋内出血、胸腔内出血などは致命的とな
る。
4) 自己免疫性後天性 FV/5 欠乏症の出血症状も、極めて多彩であるが、尿路出血や消化管出血が多い
傾向がある。症例は、軽症から致死性のものまで種々の重症度の出血症状を突然発症する。検査上の

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