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資料1-2-15診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (35 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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B.抗体根絶/除去療法
自己免疫性後天性凝固因子欠乏症の真の原因は不明であるが、それぞれの凝固因子に対する自己
抗体が出血の原因であるので、免疫反応を抑えて自己抗体の産生を止める必要がある。症例によって
免疫抑制薬の効果が異なり、画一的な治療は推奨されない。
1) 副腎皮質ステロイド薬やシクロフォスファミドなどの免疫抑制薬が有効であることが多い(令和3年現
在後者は保険適応がない)。糖尿病、血栓症、感染症などがある場合は、副腎皮質ステロイド薬の投
与を控えるは慎重に検討する。
2) 治療抵抗性の症例にはリツキシマブ(rituximab)やシクロスポリン A、アザチオプリンなどの投与も考
慮する(令和3年現在保険適応はない)。
3) 通常、高用量イムノグロブリン静注(intravenous immunoglobulin; IVIG)は推奨されていない。ただし、
自己免疫性後天性 VWF 欠乏症では、VWF レベルを数日間回復させることがある。
4) 止血治療に難渋する場合は、抗体を一時的に除去するために血漿交換、免疫吸着療法も考慮す
る。特に、自己免疫性後天性 FV/5 欠乏症では、緊急時には FV/5 補充療法を兼ねて血漿交換を実
施することが合理的である。
5) ヨーロッパでは、自己免疫性後天性 FVIII/8 欠乏症に FVIII/8 製剤の大量投与と免疫抑制薬の多剤
併用による寛解導入療法も試みられている。
5.予後
1) 自己免疫性後天性 FXIII/13 欠乏症の予後は不良である。出血による死後に結果抗 FXIII/13 自己抗体
が届いて検出されて確定診断される例が約1割、急性期に出血死する例が約1割、年余にわたり遷延し
て出血死する例が約1割、遷延して長期療養中の症例が約2割、発症後1年未満で治療中の症例が約2
割、寛解中の症例が約3割である。
2) 自己免疫性後天性 FVIII/8 欠乏症では、FVIII/8 インヒビターは、免疫抑制療法によりいったんは寛解
することが多いが、再燃することも少なくない。FVIII/8 自己抗体が残存していることもあり、定期的検査を
含む長期の経過観察が必要である。死亡率は2~3割と高く、出血死よりも免疫抑制療法中の感染死が
多いので、厳重な管理が必要である。
3) 自己免疫性後天性 VWF 欠乏症では、致死的な出血をする症例から自然寛解する症例まで予後が多
様であるが、治療に抵抗して長年にわたって遷延する症例も少なくない。さらに、いったん寛解した後に
再燃する症例もあるので、定期的検査を含む長期間の経過観察が必要である。
4) 自己免疫性後天性 FV/5 欠乏症でも、自然寛解する症例から致死的出血を来す症例まで予後が多様
であり、治療に抵抗して長年にわたって遷延する症例も少なくない。さらに、いったん寛解した後に再燃す
る症例も報告されているので、定期的検査を含む長期間の経過観察が必要である。なお、偶然発見され
た無症状の症例でも、将来出血症状が現われる可能性があるので、定期的な経過観察が必要である。
5) 自己免疫性後天性 FX/10 欠乏症は、確定診断された症例が極めて少ないため正確な予後は不明であ
る。極めて少数の確定診断症例のまとめでは、免疫抑制療法で寛解することが多いが、本疾患疑い症例
を含めるとその限りではない。

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