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資料1-2-6診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (40 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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93 原発性胆汁性胆管炎
(旧称:原発性胆汁性肝硬変)
○ 概要
1.概要
原発性胆汁性胆管炎(Primary biliary cholangitis:PBC。旧称:原発性胆汁性肝硬変(primary biliary
cirrhosis))は病因が未だ解明されていない慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である。胆汁うっ滞に伴い肝
実質細胞の破壊と線維化を生じ、最終的には肝硬変から肝不全を呈する。臨床的には胆汁うっ滞に伴うそ
う痒感、及び自己抗体の1つである抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibodies:AMA)の陽性化を
特徴とし、中年以後の女性に多い。臨床症状も全くみられない無症候性 PBC の症例も多く、このような症例
は長年無症状で経過し予後もよい。
なお、本疾患は以前、原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis)と呼ばれていた。本疾患概念が確
立された当時は、大多数の症例が肝硬変まで進行した段階で発見されていたため「肝硬変」という語句が
使用されていたが、診断・治療技術の進歩した現在では、ほとんどの患者が肝硬変の状態ではないことか
ら、2016 年に日本肝臓学会及び日本消化器病学会において「原発性胆汁性胆管炎」への病名変更が決定
された。
2.原因
本症発症の原因はまだ不明であるが、自己抗体の1つである AMA が特異的かつ高率に陽性化し、また、
慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群等の自己免疫性疾患や膠原病を合併しやすいことから、病態形成には
自己免疫学的機序が考えられている。免疫組織学的に、自己免疫反応を特徴づける所見が認められるこ
とより、胆管障害機序には様々な細胞による免疫学的機序が重要な役割を担っていることが想定されてい
る。
3.症状
症状は、(1)胆汁うっ滞に基づく症状、(2)肝障害・肝硬変及び随伴する病態に伴う症状、(3)合併した他の
自己免疫疾患に伴う症状の3つのカテゴリーに分けて考えることができる。病初期は長期間無症状である
が、中期・後期になると本疾患に特徴的である胆汁うっ滞に基づく皮膚そう痒感が出現してくる。無症候性
PBC では合併した自己免疫性疾患の病態・症状が表面に出ていることも多い。特徴的な身体所見として、
そう痒感に伴う掻き疵や高脂血症に伴う眼瞼黄色腫がみられる症例もある。肝臓は初期に腫大しているこ
とが多く、進行すれば、萎縮し、黄疸と共に、胃食道静脈瘤、腹水、肝癌等、肝硬変に伴う身体所見が現れ
る。
4.治療法
確立した根治的治療法はないため対症療法にとどまるが、病期・病態に応じた対策が必要である。初期
から中期では免疫反応による炎症と胆汁うっ滞に対して、胆汁うっ滞が持続すると胆汁うっ滞に基づく症状
と合併症に対して、肝硬変に至ると肝硬変に伴う門脈圧亢進症、腹水、脳症等の合併症に対しての治療が
必要となる。 ウルソデオキシコール酸(UDCA)は現在第1選択薬とされており、初期から投与される。90%

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