よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2-6診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

91 バッド・キアリ症候群
○ 概要
1.概要
バッド・キアリ症候群とは、肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により門脈圧亢進症に至
る症候群をいう。本邦では両者を合併している病態が多い。重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所
性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害、下腿浮腫、下
肢静脈瘤、胸腹壁の上行性皮下静脈怒張などの症候を示す。多くは発症時期が不明で慢性の経過(アジ
アに多い)をとり、うっ血性肝硬変に至ることもあるが、急性閉塞や狭窄により急性症状を呈する場合(欧米
に多い)も見られる。アジアでは下大静脈の閉塞が多く、欧米では肝静脈閉塞が多い。分類として、原発性
バッド・キアリ症候群と続発性バッド・キアリ症候群とがある。病状が進行すると肝細胞癌を合併することが
ある。肝静脈末梢枝の非血栓性閉塞により生じる静脈閉塞性疾患(veno‐occlusive disease)とは区別され
る。
2.原因
本症の病因は明らかでない例が 66%と多く、中でも我が国では肝部下大静脈膜様閉塞例が中村らの報
告では 85%と多い。肝部下大静脈の膜様閉塞や肝静脈起始部の限局した狭窄や閉塞例は、アジア、アフ
リカ地域で多く、欧米では少ない。原発性バッド・キアリ症候群の病因は未だ不明であるが、血栓、血管形
成異常、血液凝固異常、骨髄増殖性疾患の関与が言われている。続発性バッド・キアリ症候群をきたすも
のとしては肝腫瘍などがある。
本症の発生は、先天的血管形成異常説が考えられてきたが、最近では、本症の発症が中高年以降で多
いことや、膜様構造や肝静脈起始部の狭窄や閉塞が血栓とその器質化によってその発生が説明できるこ
とから後天的な血栓説も考えられている。
これに対して欧米においては、肝静脈閉塞の多くは基礎疾患を有することが多く、Mitchel は 70%と報告
している。基礎疾患としては、血液疾患(真性多血症、発作性夜間血色素尿症、骨髄線維症)、経口避妊剤
の使用、妊娠出産、腹腔内感染、血管炎(ベーチェット病、全身性エリテマトーデス)、血液凝固異常
(andthrombinantithrombinⅢ欠損症、protein C 欠損症)などの血栓を生じやすい疾患に多い。
3.症状
発症形式により急性型と慢性型に分けられる。急性型は一般に予後不良であり、腹痛、嘔吐、急速な肝
腫大及び腹水にて発症し、1~4週間で肝不全により死の転帰をたどる重篤な疾患であるが、本邦では極
めて稀である。一方、慢性型は 80%を占め、多くの場合は無症状に発症し、次第に下腿浮腫、腹水、腹壁皮
下静脈怒張、食道・胃静脈瘤を認める。
4.治療法
肝静脈閉塞や門脈圧亢進による症状を改善することが治療目標となる。肝静脈主幹あるいは肝部下大
静脈の閉塞ないし狭窄に対しては臨床症状、閉塞・狭窄の病態に対応して、カテーテルによる開通術や拡

- 28-