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データ利活用制度の在り方に関する基本方針 本文 (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_gyozaikaikaku/index.html |
出典情報 | データ利活用制度の在り方に関する基本方針(6/13)《内閣官房》 |
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益の保護という観点で重要である一方、EU 法よりも柔軟性に乏しい側面もありデータ
連携を困難にするとの指摘もある。また、異なる主体間でのデータ連携を可能とするた
めにはデータ項目・様式の標準化やデータ連携基盤が必要となるが、その際の営業秘密
など知的財産の保護制度との両立を可能とするデータ利活用制度・基盤が未整備である
ことも、データ連携を通じたデータ利活用の広がりを制約している。情報システムもま
た、行政や事業者ごとに個別最適化された設計が一般的であり、異なる主体間でのデー
タ連携が前提となっておらず、データの利活用を困難なものとしている。
○このようなデータ利活用を巡る課題が制度、システム、業務運用、さらには組織間の関
係性といった複数のレイヤーにまたがり、相互に連鎖的な制約を及ぼしているという現
実を踏まえ、今後、個別の制度改正やシステム改修にとどまらず、データを社会の共通
資源として位置づけ、諸外国の状況等を踏まえ、制度・システム・運用の全体を再設計
していく 4。
データ利活用
データの保護
(個人起点(一次利用)、社会起点(二次利用))
データ法(2023)
GDPR
EU
(2016)
民間の非個人データ(IoT等)の共有促進
データスペース構想 (2020)
EHDS法
(医療・2025)
4
オープンデータ指令(2019)
公共部門のデータ共有・再利用促進
へルスケア、産業・製造等。14の分野で広域のデータ連携を検討中
・ヘルスデータ基盤の構築
・ヘルスデータ(仮名化情報)の
第三者提供に同意不要
・医療機関からのデータ提出義務
PSD3(金融決済・検討中)
※PSD2は2015に成立
金融データアクセスの枠組と連携したPSD2の改正
個人情報
保護法
日本
米国
データガバナンス法(2021)
オープンデータ以外の政府のデータ共有促進
データの
利活用に対する
プロアクティブな
制度化アプローチ
連邦
各州
HIPAA法
(連邦法・
医療・1996)
GLBA法
(連邦法・
金融・1999)
CCPA(カリフォルニア) 等
(一般法・特別法)
民間企業(大規模デジタルプラットフォーム)内
での自成的なデータ連携・利活用
データの
独占に対する
リアクティブな
規制アプローチ
EU など諸外国では、個人情報等の保護とデータの社会的利活用を両立させ公共サービスの高度化や経済成長、国民
生活の利便性向上につなげるための制度整備が進められている事例がある。例えば、欧州連合(EU)では、個人情
報保護を目的とした一般データ保護規則(GDPR)を基盤としつつ、公共部門におけるデータの二次利用や、民間企
業間のデータ共有を可能とするため法制度の構築を進めている。具体的には、2022 年に施行されたデータガバナン
ス法(Data Governance Act)や、2025 年施行予定のデータ法(Data Act)により、信頼性あるデータ仲介や分野横
断的なデータアクセスの仕組みが制度化されつつある。加えて、2021 年に策定された欧州データ戦略(European
Strategy for Data)に基づき、産業、ヘルスケア、モビリティ、金融などの重要分野ごとに、複数主体が分散的に
データを共有・連携できる「共通欧州データスペース(Common European Data Spaces)
」の整備が進められており、
社会全体で信頼性あるデータを連携し、利活用するための基盤の構築が本格化している。英国においても、行政デ
ータの相互連携を通じた公共サービスの効率化や、データを活用したイノベーションの創出が進められており、2024
年 10 月にはデータ(利用とアクセス)法案(Data (Use and Access) Bill)が議会に提出された。同法案では、行
政データに限定せず、広く社会に存在する多様なデータの安全かつ効果的な利活用を可能とする法的枠組みの整備
が進められている。なお、米国では、EU や英国のような制度的な統一データスペースの構築は行われていないもの
の、大手プラットフォーマーなど企業主導でユーザーデータの収集・蓄積とそれを基盤とした AI 開発やビジネス展
開が加速している。連邦取引委員会(FTC)は、こうした状況における競争の歪みやプライバシー侵害への懸念に対
して、市場原理を基本としながらも、問題発生時には個別に規制措置を講ずるリアクティブな対応を取っている。
行政データの利活用についても制度整備が進んでおり、米国では 2019 年のエビデンス法(Evidence Act)により、
各省庁に評価計画の策定や分析体制の整備が義務付けられ、政策形成におけるエビデンス活用が制度化された。ま
た、大学等との人材交流を可能とする政府間人事交流法(IPA)を通じて、専門人材の柔軟な登用が行われている。
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連携を困難にするとの指摘もある。また、異なる主体間でのデータ連携を可能とするた
めにはデータ項目・様式の標準化やデータ連携基盤が必要となるが、その際の営業秘密
など知的財産の保護制度との両立を可能とするデータ利活用制度・基盤が未整備である
ことも、データ連携を通じたデータ利活用の広がりを制約している。情報システムもま
た、行政や事業者ごとに個別最適化された設計が一般的であり、異なる主体間でのデー
タ連携が前提となっておらず、データの利活用を困難なものとしている。
○このようなデータ利活用を巡る課題が制度、システム、業務運用、さらには組織間の関
係性といった複数のレイヤーにまたがり、相互に連鎖的な制約を及ぼしているという現
実を踏まえ、今後、個別の制度改正やシステム改修にとどまらず、データを社会の共通
資源として位置づけ、諸外国の状況等を踏まえ、制度・システム・運用の全体を再設計
していく 4。
データ利活用
データの保護
(個人起点(一次利用)、社会起点(二次利用))
データ法(2023)
GDPR
EU
(2016)
民間の非個人データ(IoT等)の共有促進
データスペース構想 (2020)
EHDS法
(医療・2025)
4
オープンデータ指令(2019)
公共部門のデータ共有・再利用促進
へルスケア、産業・製造等。14の分野で広域のデータ連携を検討中
・ヘルスデータ基盤の構築
・ヘルスデータ(仮名化情報)の
第三者提供に同意不要
・医療機関からのデータ提出義務
PSD3(金融決済・検討中)
※PSD2は2015に成立
金融データアクセスの枠組と連携したPSD2の改正
個人情報
保護法
日本
米国
データガバナンス法(2021)
オープンデータ以外の政府のデータ共有促進
データの
利活用に対する
プロアクティブな
制度化アプローチ
連邦
各州
HIPAA法
(連邦法・
医療・1996)
GLBA法
(連邦法・
金融・1999)
CCPA(カリフォルニア) 等
(一般法・特別法)
民間企業(大規模デジタルプラットフォーム)内
での自成的なデータ連携・利活用
データの
独占に対する
リアクティブな
規制アプローチ
EU など諸外国では、個人情報等の保護とデータの社会的利活用を両立させ公共サービスの高度化や経済成長、国民
生活の利便性向上につなげるための制度整備が進められている事例がある。例えば、欧州連合(EU)では、個人情
報保護を目的とした一般データ保護規則(GDPR)を基盤としつつ、公共部門におけるデータの二次利用や、民間企
業間のデータ共有を可能とするため法制度の構築を進めている。具体的には、2022 年に施行されたデータガバナン
ス法(Data Governance Act)や、2025 年施行予定のデータ法(Data Act)により、信頼性あるデータ仲介や分野横
断的なデータアクセスの仕組みが制度化されつつある。加えて、2021 年に策定された欧州データ戦略(European
Strategy for Data)に基づき、産業、ヘルスケア、モビリティ、金融などの重要分野ごとに、複数主体が分散的に
データを共有・連携できる「共通欧州データスペース(Common European Data Spaces)
」の整備が進められており、
社会全体で信頼性あるデータを連携し、利活用するための基盤の構築が本格化している。英国においても、行政デ
ータの相互連携を通じた公共サービスの効率化や、データを活用したイノベーションの創出が進められており、2024
年 10 月にはデータ(利用とアクセス)法案(Data (Use and Access) Bill)が議会に提出された。同法案では、行
政データに限定せず、広く社会に存在する多様なデータの安全かつ効果的な利活用を可能とする法的枠組みの整備
が進められている。なお、米国では、EU や英国のような制度的な統一データスペースの構築は行われていないもの
の、大手プラットフォーマーなど企業主導でユーザーデータの収集・蓄積とそれを基盤とした AI 開発やビジネス展
開が加速している。連邦取引委員会(FTC)は、こうした状況における競争の歪みやプライバシー侵害への懸念に対
して、市場原理を基本としながらも、問題発生時には個別に規制措置を講ずるリアクティブな対応を取っている。
行政データの利活用についても制度整備が進んでおり、米国では 2019 年のエビデンス法(Evidence Act)により、
各省庁に評価計画の策定や分析体制の整備が義務付けられ、政策形成におけるエビデンス活用が制度化された。ま
た、大学等との人材交流を可能とする政府間人事交流法(IPA)を通じて、専門人材の柔軟な登用が行われている。
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