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データ利活用制度の在り方に関する基本方針 本文 (3 ページ)
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公開元URL | https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_gyozaikaikaku/index.html |
出典情報 | データ利活用制度の在り方に関する基本方針(6/13)《内閣官房》 |
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1.データ利活用を巡る現状
(1)人口減少をデータ・AI の社会実装により克服し豊かな社会を実現する
○データは、例えば、医療分野では、医療データの活用が進むイスラエルにおいて、新型
コロナウイルスワクチンの迅速な接種と効果検証に大きく貢献したり、物流分野ではリ
アルタイムの需要データを複数の物流事業者で共有し最適な生産・配送の実現が可能と
なったことに見られるように、事業の生産性向上や新たな価値創出を支える鍵である。
同様に、行政分野でもオーストラリアでは政府の「標準企業報告データ連携基盤」1によ
り、企業は税務、統計、規制当局への報告を標準化された電子形式で一括して提出でき
るようになり、報告に要する時間とコストが大幅に削減(約 130 億円/年相当)された。
行政機関側でも、報告データの品質向上や処理業務の効率化が実現されている。
近年では、AI 技術の著しい発達、生成 AI の登場とも相まって、データの利活用は、ロ
ボット技術と融合し、サイバー空間にとどまらずフィジカル空間にも活用領域が急速に
拡大するなどその可能性を拡大している。
○総人口の減少、そして、それを上回るスピードで生産年齢人口の減少 2に直面する我が
国においては、限られた人材で社会や経済の活力を維持し、持続可能な成長を実現して
いくためには、データの活用及びそれにより可能となる AI の社会実装こそが、生産性
上昇、賃金引上げとともに、生活の質向上や地域の変革をもたらし、豊かで安心できる
社会を支える基盤となる。
(2)データ利活用の現状
○データは、長年、
「現代の石油」に例えられ利活用の必要性が主張されてきた。他方で、
現実には、我が国におけるデータ利活用を通じた価値の創出は、行政データを含め、国
際的な指標に照らしても依然として立ち遅れている 3。この背景には、我が国特有のビ
ジネス慣行や制度的枠組みが複雑に絡み合っている。
○すなわち、企業や行政の現場では、依然としてアナログな業務が根強く残り、また、情
報システムが導入されていても、旧来の「技術的負債」によって効率的に最新のデジタ
ルツールを十分に利用できないこともある。業務がデジタル化されている場合において
は、そのデータが部門毎の業務の効率化等に利用されるにとどまり、他部門や他者との
共有、他部門・他者からの共有による利活用、連携による価値創出は一般的ではない。
○このような事情で構築されてきた法制度や運用ルールもまた、社会全体でのデータ利活
用を前提にするものではない。例えば、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律
第 57 号。以下「個人情報保護法」という。
)における第三者提供規制は、個人の権利利
1
Standard Business Reporting(SBR)
:オーストラリア政府が構築した「企業報告標準化・データ連携システム」
。
企業が税務、統計、規制当局向けに提出する情報を、会計・給与ソフトなどから自動的に共通フォーマットで電子
提出できるようにするもので、官民間のデータ連携を通じて、業務の効率化と報告負担の軽減を実現している。同
政府は導入から 6 年間で約 8 億豪ドルのコスト削減効果を見込んでいる。
2
我が国では、総人口が 2008 年をピークに減少局面に入り、2024 年 11 月時点での生産年齢人口(15〜64 歳)は 7,374
万人と、ピーク時から約 1,340 万人減少している。今後も減少傾向は続く見込みであり、2050 年には 5,540 万人程
度まで落ち込むと予測されている。
3
例えば、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する「国際デジタル競争力ランキング」において、日本は
主要国と比較して継続的に低位にとどまっており、特に「将来への備え(future readiness)
」の分野において、ビ
ジネスの俊敏性やデータの統合・活用力に課題があると評価されている。
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(1)人口減少をデータ・AI の社会実装により克服し豊かな社会を実現する
○データは、例えば、医療分野では、医療データの活用が進むイスラエルにおいて、新型
コロナウイルスワクチンの迅速な接種と効果検証に大きく貢献したり、物流分野ではリ
アルタイムの需要データを複数の物流事業者で共有し最適な生産・配送の実現が可能と
なったことに見られるように、事業の生産性向上や新たな価値創出を支える鍵である。
同様に、行政分野でもオーストラリアでは政府の「標準企業報告データ連携基盤」1によ
り、企業は税務、統計、規制当局への報告を標準化された電子形式で一括して提出でき
るようになり、報告に要する時間とコストが大幅に削減(約 130 億円/年相当)された。
行政機関側でも、報告データの品質向上や処理業務の効率化が実現されている。
近年では、AI 技術の著しい発達、生成 AI の登場とも相まって、データの利活用は、ロ
ボット技術と融合し、サイバー空間にとどまらずフィジカル空間にも活用領域が急速に
拡大するなどその可能性を拡大している。
○総人口の減少、そして、それを上回るスピードで生産年齢人口の減少 2に直面する我が
国においては、限られた人材で社会や経済の活力を維持し、持続可能な成長を実現して
いくためには、データの活用及びそれにより可能となる AI の社会実装こそが、生産性
上昇、賃金引上げとともに、生活の質向上や地域の変革をもたらし、豊かで安心できる
社会を支える基盤となる。
(2)データ利活用の現状
○データは、長年、
「現代の石油」に例えられ利活用の必要性が主張されてきた。他方で、
現実には、我が国におけるデータ利活用を通じた価値の創出は、行政データを含め、国
際的な指標に照らしても依然として立ち遅れている 3。この背景には、我が国特有のビ
ジネス慣行や制度的枠組みが複雑に絡み合っている。
○すなわち、企業や行政の現場では、依然としてアナログな業務が根強く残り、また、情
報システムが導入されていても、旧来の「技術的負債」によって効率的に最新のデジタ
ルツールを十分に利用できないこともある。業務がデジタル化されている場合において
は、そのデータが部門毎の業務の効率化等に利用されるにとどまり、他部門や他者との
共有、他部門・他者からの共有による利活用、連携による価値創出は一般的ではない。
○このような事情で構築されてきた法制度や運用ルールもまた、社会全体でのデータ利活
用を前提にするものではない。例えば、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律
第 57 号。以下「個人情報保護法」という。
)における第三者提供規制は、個人の権利利
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Standard Business Reporting(SBR)
:オーストラリア政府が構築した「企業報告標準化・データ連携システム」
。
企業が税務、統計、規制当局向けに提出する情報を、会計・給与ソフトなどから自動的に共通フォーマットで電子
提出できるようにするもので、官民間のデータ連携を通じて、業務の効率化と報告負担の軽減を実現している。同
政府は導入から 6 年間で約 8 億豪ドルのコスト削減効果を見込んでいる。
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我が国では、総人口が 2008 年をピークに減少局面に入り、2024 年 11 月時点での生産年齢人口(15〜64 歳)は 7,374
万人と、ピーク時から約 1,340 万人減少している。今後も減少傾向は続く見込みであり、2050 年には 5,540 万人程
度まで落ち込むと予測されている。
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例えば、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する「国際デジタル競争力ランキング」において、日本は
主要国と比較して継続的に低位にとどまっており、特に「将来への備え(future readiness)
」の分野において、ビ
ジネスの俊敏性やデータの統合・活用力に課題があると評価されている。
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