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「看護の将来ビジョン2040 ~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」 (6 ページ)
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公開元URL | https://www.nurse.or.jp/home/about/vision/ |
出典情報 | 看護の将来ビジョン2040(6/12)《日本看護協会》 |
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1.
2040年のすがた
人口構成の変化による若年世代の減少が進む中、日本の社会、経済はこれに対応していく。DXをは
じめとした技術革新は人々の生活を一変させる可能性があり、看護もその例外ではない。後期高齢者の
さらなる増加は、認知症をはじめとする医療・介護の複合的なニーズを有する人々の増加につながり、
その治療や療養、そして看取りの場は在宅等 h (自宅・居住施設)
、地域を中心としたものへと移行して
いく。看護職の多くはそのニーズの高まりから地域へと活躍の場を広げ、人々の健康や療養を支えるた
めに地域において欠かせない存在となる。
1)社会のすがた
⃝わが国の人口は2008(平成20)年をピークに減少しており5)、2040年頃には1年で100万人程度
の人口減少となると想定される6)
(出生数の減少と死亡数の増加の同時発生)
。生産年齢人口の比率
は減少し続け、高齢者1人に対して現役世代が1.5人という時代となる7)。高齢世帯の約7割が単独
または夫婦のみ世帯となり、さらに、未婚化の進行による高齢単身世帯の増加も見込まれる8)。
⃝人口等の変化には地域差がある。人口減少、人口密度の低下が進む地域ではインフラの維持も困難
となり9)、高齢者が多くを占める地域では共助機能が弱体化する。医療、福祉、商業等のほか、公
共交通などの生活サービスの維持・確保が困難化し、介護難民、買い物難民などの社会問題がより
深刻になる。
⃝生活が不安定な状態や孤立・孤独な状況は、教育や健康の格差の問題にも複合的に影響し、顕在化
してくる10)。多様性への尊重と理解が進み、共生社会 i の実現に近づく一方で、例えば、ひとり親
家庭やヤングケアラー、ひきこもり(8050問題)など複雑かつ従来の制度では支援が届きにくい
課題もある11)。特に高齢世帯については、生活に困窮する人々やそのリスクのある就職氷河期世
代など12)13)、孤立しやすい状況となる人々への医療・介護にとどまらない多様で複合的な支援の
ニーズは高まる。多様な背景を持つ人々には、日本で学び、働き、暮らす外国人も含まれる。乳幼
児から高齢者まで地域のあらゆる人々、一人ひとりを俯瞰的に捉え、医療・介護・福祉・行政ら多
職種の連携による適切な支援を届けることがより一層重要となる。
⃝人口減少は労働力の減少や消費の減退につながり、経済への影響も懸念される一方で、一人ひとり
の意欲に応じてより長い期間働ける社会となり、DXの進展による生産性の向上、リモートワーク
の普及など、社会の変容に応じた形での成長戦略が実行されていく14)。
⃝現在、日本の地域社会では地域共生社会 j 、すなわち世代や属性、
「支える側」
、
「支えられる側」を
超えて、人々の多様性を尊重しつつ、インクルーシブな「つながり・支えあい」によって成り立つ
社会を目指した取組みが始まっている15)。2040年には地域の住民や専門職の参画によるこのよう
4
2040年のすがた
人口構成の変化による若年世代の減少が進む中、日本の社会、経済はこれに対応していく。DXをは
じめとした技術革新は人々の生活を一変させる可能性があり、看護もその例外ではない。後期高齢者の
さらなる増加は、認知症をはじめとする医療・介護の複合的なニーズを有する人々の増加につながり、
その治療や療養、そして看取りの場は在宅等 h (自宅・居住施設)
、地域を中心としたものへと移行して
いく。看護職の多くはそのニーズの高まりから地域へと活躍の場を広げ、人々の健康や療養を支えるた
めに地域において欠かせない存在となる。
1)社会のすがた
⃝わが国の人口は2008(平成20)年をピークに減少しており5)、2040年頃には1年で100万人程度
の人口減少となると想定される6)
(出生数の減少と死亡数の増加の同時発生)
。生産年齢人口の比率
は減少し続け、高齢者1人に対して現役世代が1.5人という時代となる7)。高齢世帯の約7割が単独
または夫婦のみ世帯となり、さらに、未婚化の進行による高齢単身世帯の増加も見込まれる8)。
⃝人口等の変化には地域差がある。人口減少、人口密度の低下が進む地域ではインフラの維持も困難
となり9)、高齢者が多くを占める地域では共助機能が弱体化する。医療、福祉、商業等のほか、公
共交通などの生活サービスの維持・確保が困難化し、介護難民、買い物難民などの社会問題がより
深刻になる。
⃝生活が不安定な状態や孤立・孤独な状況は、教育や健康の格差の問題にも複合的に影響し、顕在化
してくる10)。多様性への尊重と理解が進み、共生社会 i の実現に近づく一方で、例えば、ひとり親
家庭やヤングケアラー、ひきこもり(8050問題)など複雑かつ従来の制度では支援が届きにくい
課題もある11)。特に高齢世帯については、生活に困窮する人々やそのリスクのある就職氷河期世
代など12)13)、孤立しやすい状況となる人々への医療・介護にとどまらない多様で複合的な支援の
ニーズは高まる。多様な背景を持つ人々には、日本で学び、働き、暮らす外国人も含まれる。乳幼
児から高齢者まで地域のあらゆる人々、一人ひとりを俯瞰的に捉え、医療・介護・福祉・行政ら多
職種の連携による適切な支援を届けることがより一層重要となる。
⃝人口減少は労働力の減少や消費の減退につながり、経済への影響も懸念される一方で、一人ひとり
の意欲に応じてより長い期間働ける社会となり、DXの進展による生産性の向上、リモートワーク
の普及など、社会の変容に応じた形での成長戦略が実行されていく14)。
⃝現在、日本の地域社会では地域共生社会 j 、すなわち世代や属性、
「支える側」
、
「支えられる側」を
超えて、人々の多様性を尊重しつつ、インクルーシブな「つながり・支えあい」によって成り立つ
社会を目指した取組みが始まっている15)。2040年には地域の住民や専門職の参画によるこのよう
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