よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析 (8 ページ)

公開元URL https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_dis/2025/e_dis401.html
出典情報 働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析(6/9)《内閣府》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

ESRI Discussion Paper Series No.401
「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」

摘されてきた[33, 34, 35]。更年期症状が重いほど業務パフォーマンスを低下させるとい
う研究成果は伝え方を誤ると、中年女性は更年期症状によって業務のパフォーマンスが
低下する確率が高いという「統計的差別」により、集団の評価が個人にもあてはめられ、
結果として女性の登用や昇進の機会を奪うおそれがある。すべての女性が重い症状を抱
えているわけではなく、また、更年期障害があっても従業員が働きやすいように、職場
向けのガイドラインが欧州更年期学会から発表されている[9]。「統計的差別」を助長さ
せないためにも、更年期についての正しい理解が必要となる。
2.目的
我が国では、東京証券取引所と経済産業省が共同で選定を行う「健康経営銘柄」の要件
に、
「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」が 2019 年に追加された。同時に、大規模
法人部門の健康経営優良法人の認定要件にも追加され[36]、今では中小法人部門の健康経
営優良法人の認定要件にも「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」が入るようになっ
た[37]。近年では、管理職向けに女性特有の健康課題に関する知識を得るためのセミナー
が開催されることも珍しくない[38]。更年期の女性従業員の働きやすさの改善に取り組む
企業も増えつつあるが、就労女性の更年期症状の改善や予防といった実践的な支援に役
立てられるエビデンスの蓄積が依然少ない。
2022 年に厚生労働省が政府として初めてとなる更年期症状についての大規模調査を国
内の 20~64 歳の男女 5000 名を対象に実施したが、更年期と就労との関係についての設
問は含まれていない[39]。2024 年に内閣府が実施した健康に関する意識調査によれば、
働く上で更年期症状が気になったと回答した女性が 50 歳代で 21.1%、40 歳代で 10.3%
であった[40]。この調査結果から更年期症状による仕事への影響が示唆されるものの、更
年期だけでなく他の健康問題と併せて調査していることや、調査結果が 40~49 歳、50~
59 歳といった 10 歳刻みの年齢区分で示されていることもあり、40 歳代後半から 50 歳
代半ばがターゲットゾーンとなる更年期世代の健康状況を詳しく把握することは難しい。
また、そもそも更年期障害は、現代の医学においてさえ、不明なことが多い疾患とされて
いる。更年期障害は多様な身体精神症状のうち、明らかな身体疾患の存在を特定できない
ものすべてを包含する疾患概念であり[41]、また、身体的因子・心理的因子・社会的因子
が複雑に関与して発症することもあり[42]、症状が重くなる背景にどのような因子が関係
8