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働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析 (16 ページ)

公開元URL https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_dis/2025/e_dis401.html
出典情報 働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析(6/9)《内閣府》
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ESRI Discussion Paper Series No.401
「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」

(4)中等度から重度の更年期症状に影響を及ぼすリスク因子
SMI が 26 点以上となる中等度から重度の更年期症状リスク増加に有意な関連を認めら
れた因子として、BMI が 25 以上で肥満度レベルが過体重~肥満であること、月経につい
て周期に乱れのある閉経移行期の状態あるいは月経がない(閉経)状態、婦人科疾患の既
往歴を有すること、5kg 以上の重量物の持ち上げが1日1回以上ある労働環境、月1回以
上の深夜勤務といった5因子を検出した。これら5因子のうち、3因子は個人の身体状況
に関連し、残り2因子は労働環境に関連する。社会生活に関連する因子の中でリスク増加
に有意な因子は検出されなかった。
個人の身体状況に関連する因子のうち、肥満度レベルについては、BMI に基づく低体
重、標準体重、過体重~肥満の3区分のうち、肥満度レベルが過体重~肥満のみ、有意
なリスク増加が認められた。肥満と更年期症状との関係についてのレビューによれば、
ほとんどの研究において、BMI 等の肥満度指数が大きいほど、更年期症状の重症度が高
いことが示されている[53]。
月経状況については3区分で分析したが、3区分のうち、月経周期に7日以上の乱れ
がある状態は閉経移行期(perimenopausal state)、月経がない(閉経)状態は閉経期
(postmenopausal state)であり、この2区分は「更年期」にあたり、月経周期に乱れが
ない状態は「更年期」に入る前の状態(premenopausal state)とみなすことができる[3,5]。
これら3区分のうち、閉経移行期と閉経期の2区分において、更年期症状の重症化に有
意なリスク増加がみられことは、更年期の者は更年期に入る前の者に比べ、更年期症状
が重くなっていることが確認でき、このことは日本の女性を対象とした先行研究でも示
されている[54]。
婦人科疾患の既往歴と更年期症状との関係については、婦人科疾患の既往歴があると
きに有意な中等度から重度のリスク増加がみとめられた。本研究では回答者の婦人科疾
患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫等)の既往歴の有無はわかるが、既往歴があると
き、いつ、どのような治療を受けたのかについてはわからない。婦人科疾患の既往歴が
ある者の中には卵巣摘出などによって人工的な閉経となり、更年期症状が現れている者
が含まれている可能性がある。婦人科疾患の既往歴があるときに症状が重くなっている
要因を明らかにするためには、治療の時期・内容についての情報が必要となり、本研究
の限界点である。
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