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働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析 (18 ページ)

公開元URL https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_dis/2025/e_dis401.html
出典情報 働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析(6/9)《内閣府》
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ESRI Discussion Paper Series No.401
「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」

まま悩んでいたと回答する割合も高かった[57]。女性自身が予め更年期症状のことを知っ
ていれば、実際に更年期症状と思われる心身の変化が生じたときにも落ち着いて判断で
き、医療関係者とのコミュニケーションもとりやすくなる[58]
。更年期障害には診断基
準としてコンセンサスが得られているものはなく[41]、医療従事者にとっても診断が難し
い疾患である。このため、患者自身が更年期についての基礎知識を持っておくことで、医
師とのコミュニケーションが取りやすくなり、効果的な治療が受けやすくなるものと考
える。
労働環境に関連する因子のうち、リスク因子として検出された重量物の持ち上げと深
夜勤務の2因子は、個々の従業員の業務内容に関わり、通常、職場の上司・部下や同僚の
間で共有されている情報である。このため、プライバシーに関わる身体的因子とは違って、
雇用主の積極的な介入によって、更年期症状有訴リスクが軽減されることが期待できる。
5kg 以上の重量物の持ち上げが1日1回以上ある労働環境については、更年期症状の予防
や緩和のためとしてだけでなく、職場の安全性確保のため既存の法令による制限からの
点検も重要である。労働基準法 9は、人力によって運搬する重量物の重さの制限を男女別・
年齢別に定めている。満 18 歳以上について男性には制限がない 10一方、女性には、断続
作業には 30kg、継続作業には 20kg の制限がある 11。ただし、一般に女性の持ち上げ能力
は男性の 60%位とされている 12。このため、法令の制限内であったとしても、従業員の
年齢や作業内容に応じて重量物の取り扱い業務内容を産業保健スタッフ等と連携しなが
ら見直すことが労務担当者や職場の監督者に求められる。
調査対象とした 45~56 歳の週の 20 時間以上労働の女性のうち、5kg 以上の重量物の
持ち上げが1日1回以上ある者は3割と少なくなく、また、10 人に1人が月1回以上の
深夜勤務を行っていた。ただし、これはあくまでも全産業の平均値であり、平均値を大き
く上回る職場があることが否めない。重量物の持ち上げや深夜勤務による負担を軽減す
るため、事業主が従業員と積極的に対話などを行い、機器の導入やDXの活用等によって
労働環境が改善されることが望まれる。実際に更年期の就労女性が働きやすくするため

9
10

『女性労働基準規則』第 2 条『年少者労働基準規則』第 7 条

満 18 歳以上の男性は、法令上、明確な制限がないものの、厚生労働省「職場における腰痛予防対策指

針」では、
「体重のおおむね 40%以下」に努めることとされている。
11

満 16 歳未満の女性は、断続作業 12kg、継続作業 8kg、満 16 歳以上満 18 歳未満の女性は断続作業

25kg、継続作業 15kg の制限がある。また、女性は妊娠中及び産後1年の重量物運搬は禁止されている。
12

厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」

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