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働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析 (5 ページ)

公開元URL https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_dis/2025/e_dis401.html
出典情報 働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析(6/9)《内閣府》
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ESRI Discussion Paper Series No.401
「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」

1.背景
40 歳代、50 歳代は、これまで高めてきた能力やスキルを経済社会で十分に発揮するこ
とが期待される時期であるが、女性にとっては更年期 1による不調が数年、時には 10 年
ほど続く時期[1, 2]と重なる 2。更年期症状 3は、顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)

発汗などの血管運動神経症状、易疲労感・めまい・動機・頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・
足腰の冷えなどの身体症状、不眠・イライラ・不安感・抑うつ気分などの精神症状といっ
た多様な症状から構成される[3]。大多数の女性が更年期症状を経験するものの、現れる
症状の種類や組合せ、症状の強さは個人差が大きく、どのような症状がいつ現れるかを予
測することが難しく、症状がほとんど現れない人もいれば、日常生活に支障をきたすよう
な重い症状をいくつも抱える人もいる[4, 5, 6]。更年期症状は仕事にも影響がある。英国
における縦断調査に基づく研究によれば、50 歳時点において症状が重い女性は軽い女性
に比べて、離職もしくは就業時間を減少させて就業を継続している確率が高かった[7]。
また、
40 歳~60 歳の英国における就労女性 2000 名超を対象に実施された調査によれば、
78%が更年期症状を経験し、そのうち、半数以上が症状のため出勤がつらいと感じる日が
これまでにあったと回答し、また、6 人に1人は勤務先における更年期対策が不足してい
ることを理由に離職を考えたことがあり、実際に勤務先の対応に不満等があり離職した
経験を持つ者は6%であった[8]。更年期による不調そのものが仕事に支障をきたすだけ
でなく、職場環境が更年期症状に影響を与えることもある[9]。更年期症状によるアブセ
ンティーズムやプレゼンティーズムの要因を明らかにしようとする実証研究では、更年
期症状の重症度を含む個人の身体や社会生活に係る因子と、労働環境や直属上司の性別・
年齢といった仕事に関連する因子の両方が影響を及ぼしていた[10]。更年期症状と仕事と
の関係は、更年期症状から仕事への一方向ではなく双方向で捉える必要がある[11]。
日本では 45~54 歳の女性の就業率は 80%を超え、団塊ジュニア世代が 50 歳代に入り
1

更年期は、日本では閉経の前後5年間の合計 10 年とされる(日本産科婦人科学会:産婦人科用語集・

用語解説集
2

改訂第4版)


男性にも女性と似た更年期症状が起こりうる。ただし、発症は 40 歳代いつでも起こる可能性があり、

発症時期については女性以上に個人差が大きい(日本内分泌学会)

3

更年期症状・障害について、更年期に現れる多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状を更

年期症状とよび、これらの症状の中で日常生活に支障を来す病態を更年期障害と定義される(日本産科婦
人科学会:産婦人科用語集・用語解説集

改訂第4版)
。本稿では、更年期症状と更年期障害とをまとめ

て更年期症状とし、正確性等のため更年期障害を更年期症状と区別して述べることが望ましい箇所では更
年期障害としている。

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