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働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析 (17 ページ)
出典
公開元URL | https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/e_dis/2025/e_dis401.html |
出典情報 | 働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析(6/9)《内閣府》 |
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ESRI Discussion Paper Series No.401
「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」
労働環境に関連する因子については、有意な中等度から重度のリスク増加に関連がみ
られたものとして、5kg 以上の重量物の持ち上げが1日1回以上ある労働環境と、月1
回以上の深夜勤務があった。労働特性に関する4因子のうち、週の労働時間が 44 時間以
上であることや1日の立ち時間が5時間以上であることはいずれも有意なリスク増加は
認められなかった。
深夜勤務については、月1回以上の深夜勤務があることが重症化のリスクを有意に増
加させていた。大手製造業1社の日本国内での 35 歳以上の女性社員 685 名を対象とし
た実証研究では、週1~3日の深夜勤務が更年期症状の重症化に有意なリスク増加とな
っていた一方、週4日以上の深夜勤務については有意なリスク増加がみとめられないと
いうやや矛盾する結果となっている [55]。この理由として、週1~3日の深夜労働の者
が 58 名(8.5%)に対し、週4日以上の深夜勤務の者が3名(0.4%)と極めて少ないこ
とのほか、サンプルに 35~39 歳や 60 歳以上が含まれ、週4日以上の深夜勤務を「更年
期」ではない者が行っている可能性がある。こうしたサンプルの問題があるものの、同
研究[55]は、深夜勤務に更年期症状を重症化させるリスクがあるという本研究の分析結
果を支持するものである。
(5)女性の更年期症状に対する職域における取組への示唆
本研究では、中等度から重度の更年期症状のリスク因子について、個人に身体状況に関
連するものとして、肥満度レベルが過体重~肥満であること、更年期(閉経移行期・閉経
期)にあること、婦人科疾患の既往歴を有することの3因子を検出した。この3因子はい
ずれも従業員のプライバシーに関わる。職域における女性の健康支援では、従業員のプラ
イバシー保護への留意が必要である[56]。本研究の結果を職域における更年期症状の予防
や緩和に役立てるには、まずは、女性自身に幅広く情報が届けられることによって、一人
ひとりがセルフケアに取り組み、医療機関の受診や服薬行動がとられることで、日常生活
や仕事への影響を少なくすることが期待される。ほとんどの女性にとって、更年期症状は
不意に現れる[57]だけでなく、更年期症状の特徴は症状が多彩であるため[42]、どのよう
な症状が自らに現われるかを事前に予測することは難しい。英国での調査では、更年期症
状を自覚するまで、更年期のことをほとんど知らなかった女性がほぼ半数にのぼり、職位
が高い女性の方がその割合は高く、自らの心身の変化がなぜ起きているのかわからない
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「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」
労働環境に関連する因子については、有意な中等度から重度のリスク増加に関連がみ
られたものとして、5kg 以上の重量物の持ち上げが1日1回以上ある労働環境と、月1
回以上の深夜勤務があった。労働特性に関する4因子のうち、週の労働時間が 44 時間以
上であることや1日の立ち時間が5時間以上であることはいずれも有意なリスク増加は
認められなかった。
深夜勤務については、月1回以上の深夜勤務があることが重症化のリスクを有意に増
加させていた。大手製造業1社の日本国内での 35 歳以上の女性社員 685 名を対象とし
た実証研究では、週1~3日の深夜勤務が更年期症状の重症化に有意なリスク増加とな
っていた一方、週4日以上の深夜勤務については有意なリスク増加がみとめられないと
いうやや矛盾する結果となっている [55]。この理由として、週1~3日の深夜労働の者
が 58 名(8.5%)に対し、週4日以上の深夜勤務の者が3名(0.4%)と極めて少ないこ
とのほか、サンプルに 35~39 歳や 60 歳以上が含まれ、週4日以上の深夜勤務を「更年
期」ではない者が行っている可能性がある。こうしたサンプルの問題があるものの、同
研究[55]は、深夜勤務に更年期症状を重症化させるリスクがあるという本研究の分析結
果を支持するものである。
(5)女性の更年期症状に対する職域における取組への示唆
本研究では、中等度から重度の更年期症状のリスク因子について、個人に身体状況に関
連するものとして、肥満度レベルが過体重~肥満であること、更年期(閉経移行期・閉経
期)にあること、婦人科疾患の既往歴を有することの3因子を検出した。この3因子はい
ずれも従業員のプライバシーに関わる。職域における女性の健康支援では、従業員のプラ
イバシー保護への留意が必要である[56]。本研究の結果を職域における更年期症状の予防
や緩和に役立てるには、まずは、女性自身に幅広く情報が届けられることによって、一人
ひとりがセルフケアに取り組み、医療機関の受診や服薬行動がとられることで、日常生活
や仕事への影響を少なくすることが期待される。ほとんどの女性にとって、更年期症状は
不意に現れる[57]だけでなく、更年期症状の特徴は症状が多彩であるため[42]、どのよう
な症状が自らに現われるかを事前に予測することは難しい。英国での調査では、更年期症
状を自覚するまで、更年期のことをほとんど知らなかった女性がほぼ半数にのぼり、職位
が高い女性の方がその割合は高く、自らの心身の変化がなぜ起きているのかわからない
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