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65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版) (9 ページ)
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出典情報 | 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)(9/30)《日本呼吸器学会》 |
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5) 原因菌の血清型カバー率
2013〜24 年の成人 IPD サーベイランス(厚生労働省研究班)における原因菌
3,034 株が解析され、65 歳以上の 2013〜15 年、2016〜18 年、2019〜21 年、2022〜
2024 年の 4 期間の PCV7、PCV13、PCV15、PCV20、PCV21、PPSV23 の血清型カバー率
の年次推移が報告されている(https://ipd-information.com/adult/overview/)22)。
PCV15 では 55%、36%、32%、35%、PCV20 では 69%、64%、53%、50%、PCV21 では 79%、
79%、75%、78%であった。また、PPSV23 では 68%、64%、53%、51%であった。PCV21 以
外のワクチンの血清型カバー率は、小児 PCV13 の定期接種導入後の間接効果に伴い、
減少傾向であった。一方、PCV21 の血清型カバー率は約 80%と高く、全期間を通じ
て、大きな変化は認められなかった。
前述の肺炎球菌性肺炎の国内多施設共同研究において、2011〜14 年、2016〜17、
2018〜20 年の 3 期間の PCV13、PCV15 および PCV20 の血清型カバー率は、PCV13 で
は 52.7%、30.4%、38.5%、PCV15 では 55.8%、34.5%、43.3%、PCV20 では 71.0%、50.0%、
59.6%であった 7)。また、2019 年〜22 年の肺炎球菌性肺炎における PCV15、PCV20、
PPSV23 および PCV21 の血清型カバー率は、全年齢でそれぞれ 28.0%、43.7%、44.1%
および 71.9%であり、65 歳以上ではそれぞれ 28.2%、42.8%、42.6%および 72.3%で
あった 27)。一方、PCV21 の血清型カバー率は PCV15, PCV20, PPSV23 より約 30%高
かった。さらに、2015〜20 年に 18 歳以上の成人市中肺炎 2,103 例 (65 歳以上 1,762
例を含む)を対象とした地域住民対象前向き研究では、対象の 17.8%で肺炎球菌が検
出された 28)。肺炎球菌性肺炎 248 例における血清型カバー率は、PCV13 41.5%、
PCV15 46.3%、PCV20 72.6%、PPSV23 67.7%であった。本研究における血清型決定に
は細菌培養(喀痰を含む)および肺炎球菌血清型特異抗体による尿中抗原検出法が
使用された。
以上のように、PCV13、PCV15、PCV20, PCV21 は安全性、免疫原性には大きな違い
が認められないものの、血清型カバー率については、PCV20 は PCV13 及び PCV15 よ
り優れており、PCV21 はさらに PCV20 より優れていると考えられた。
4.PCV15-PPSV23 連続接種
PCV15-PPSV23 の連続接種の利点は、成人では PCV15 接種後に、被接種者に 15 血
清型ワクチン血清型特異的なメモリーB 細胞が誘導され、その後の PPSV23 接種に
より両ワクチンに共通な 14 血清型に対する特異抗体のブースター効果が期待され
ることである 29)。2022 年 1 月に米国 CDC は 65 歳以上の全ての成人、PCV を未接種
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2013〜24 年の成人 IPD サーベイランス(厚生労働省研究班)における原因菌
3,034 株が解析され、65 歳以上の 2013〜15 年、2016〜18 年、2019〜21 年、2022〜
2024 年の 4 期間の PCV7、PCV13、PCV15、PCV20、PCV21、PPSV23 の血清型カバー率
の年次推移が報告されている(https://ipd-information.com/adult/overview/)22)。
PCV15 では 55%、36%、32%、35%、PCV20 では 69%、64%、53%、50%、PCV21 では 79%、
79%、75%、78%であった。また、PPSV23 では 68%、64%、53%、51%であった。PCV21 以
外のワクチンの血清型カバー率は、小児 PCV13 の定期接種導入後の間接効果に伴い、
減少傾向であった。一方、PCV21 の血清型カバー率は約 80%と高く、全期間を通じ
て、大きな変化は認められなかった。
前述の肺炎球菌性肺炎の国内多施設共同研究において、2011〜14 年、2016〜17、
2018〜20 年の 3 期間の PCV13、PCV15 および PCV20 の血清型カバー率は、PCV13 で
は 52.7%、30.4%、38.5%、PCV15 では 55.8%、34.5%、43.3%、PCV20 では 71.0%、50.0%、
59.6%であった 7)。また、2019 年〜22 年の肺炎球菌性肺炎における PCV15、PCV20、
PPSV23 および PCV21 の血清型カバー率は、全年齢でそれぞれ 28.0%、43.7%、44.1%
および 71.9%であり、65 歳以上ではそれぞれ 28.2%、42.8%、42.6%および 72.3%で
あった 27)。一方、PCV21 の血清型カバー率は PCV15, PCV20, PPSV23 より約 30%高
かった。さらに、2015〜20 年に 18 歳以上の成人市中肺炎 2,103 例 (65 歳以上 1,762
例を含む)を対象とした地域住民対象前向き研究では、対象の 17.8%で肺炎球菌が検
出された 28)。肺炎球菌性肺炎 248 例における血清型カバー率は、PCV13 41.5%、
PCV15 46.3%、PCV20 72.6%、PPSV23 67.7%であった。本研究における血清型決定に
は細菌培養(喀痰を含む)および肺炎球菌血清型特異抗体による尿中抗原検出法が
使用された。
以上のように、PCV13、PCV15、PCV20, PCV21 は安全性、免疫原性には大きな違い
が認められないものの、血清型カバー率については、PCV20 は PCV13 及び PCV15 よ
り優れており、PCV21 はさらに PCV20 より優れていると考えられた。
4.PCV15-PPSV23 連続接種
PCV15-PPSV23 の連続接種の利点は、成人では PCV15 接種後に、被接種者に 15 血
清型ワクチン血清型特異的なメモリーB 細胞が誘導され、その後の PPSV23 接種に
より両ワクチンに共通な 14 血清型に対する特異抗体のブースター効果が期待され
ることである 29)。2022 年 1 月に米国 CDC は 65 歳以上の全ての成人、PCV を未接種
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