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65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版) (5 ページ)

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出典情報 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)(9/30)《日本呼吸器学会》
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年)には IPD 罹患率は 60%減少した。血清型、年齢による罹患率の減少の違いは認
められなかった。このような COVID-19 流行後の IPD の罹患率の顕著な減少は、
COVID-19 対策としての医薬品以外による対策(対人距離の確保、マスク着用等の
国民の行動変容)が影響した可能性が考えられた。また、COVID-19 流行前(5.3%)
に比べ、IPD 発症 10 日以内に季節性インフルエンザを併発した頻度(1.2%)が有
意に減少した。臨床像では菌血症を伴う肺炎が有意に減少し、一方、巣症状を伴わ
ない菌血症が有意に増加した。
次に COVID-19 流行前の期間において、IPD 発症に先行する季節性インフルエン
ザの有無によって、15–64 歳と 65 歳以上の成人 IPD 患者の臨床像を比較した 8)。
15–64 歳と 65 歳以上のいずれにおいても、先行する季節性インフルエンザの有無
によって IPD 患者の臨床像は有意に異なっていた。季節性インフルエンザ先行が
ある IPD 患者では、菌血症を伴う肺炎の割合が 15–64 歳では 84.2%(n=19)、65 歳
以上では 87%(n=46)と高率であった。一方、先行する季節性インフルエンザがない
IPD 患者の菌血症を伴う肺炎の割合は、15–64 歳で 44.9(n=158)、65 歳以上では
65.5%(n=538)であった。また、65 歳以上の季節性インフルエンザ後の IPD 患者の
致命率は 28.3%(n=13)であり、季節性インフルエンザの先行がない IPD 患者(15.3%、
n=126)と比較して有意に高かった。これらの結果は高齢者におけるインフルエン
ザワクチンおよび肺炎球菌ワクチン接種の重要性を示唆している。
3.PCV13, PCV15,PCV20 および PCV21 の位置づけ
1) PCV13 のワクチン効果、免疫原性、安全性
2013 年 6 月に 5 歳未満の小児に対して PCV13 の製造販売が承認され、その後、2014
年 6 月に接種適応年齢が 65 歳以上に拡大された。これまでの国内外の報告から、
65 歳以上の成人に対する PCV13 の安全性は PPSV23 とほぼ同等、また PCV13 の免疫
原性は同等もしくは PPSV23 より優れていると判断された 9-11)。また、オランダで実
施された 65 歳以上を対象としたプラセボ対照二重盲検比較(CAPiTA)試験において、
PCV13 はワクチン血清型による市中肺炎を 45.6%予防し、ワクチン血清型による菌
血症を伴わない市中肺炎を 45.0% 予防し、ワクチン血清型による IPD を 75.0%予防
したと報告された 12)。その後、リスクの有無(免疫不全を除く)にかかわらず 65 歳
以上への PCV13 接種によりその後約 4 年間は市中肺炎に対する予防効果が持続した
と報告されている 13)。また、CAPiTA 試験の事後解析結果では、5 年の研究期間内に
PCV13 の市中肺炎予防効果は減衰しなかったとされている 14)。CAPiTA 試験以降、多

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