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65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版) (4 ページ)

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出典情報 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)(9/30)《日本呼吸器学会》
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が国の1自治体において、2014〜18年度にPPSV23を接種された65歳、70歳、75歳、
80歳、85歳、90歳、95歳の住民の予防接種記録と医療レセプト情報を用いて、肺炎
の発症割合の解析結果が報告された4)。その結果、PPSV23接種により全年齢の住民
の肺炎による入院率は有意に減少した。70歳でワクチンの効果は最も高く、90歳、
95歳では有意差は認められなかった。
厚生労働省研究班では、成人の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)サーベイランスデー
タ(2013〜2017 年)を Broome’s 法により解析し、PPSV23 接種による有効性が検
討された。その結果、PPSV23 含有血清型による IPD に対する PPSV23 接種の有効性
は 42.2%であり、PPSV23-非 PCV13 血清型に対する有効性は 44.5%であった 5)。年代
別解析では 65 歳以上では 39.2%、20〜64 歳では 59%であった。PPSV23 接種は 65
歳以上の IPD に対して中等度の有効性を示すことが明らかされた。になった。
2)PPSV23 の血清型カバー率
前述の厚生労働省研究班において、2013〜19 年の成人 IPD サーベイランスデー
タを用いて 65 歳以上の原因菌血清型の解析が行われた。その結果、PCV13-非 PCV7
型血清型の割合は有意に減少したのに対し、PPSV23-非 PCV13 血清型の割合には有
意な変化が認められなかった 6)。 PCV13-非 PCV7 型血清型の有意な減少は、PCV13
の小児への定期接種導入に伴う間接効果によると考えられた。また、2014 年から実
施された 65 歳以上を対象とした PPSV23 による定期接種によって、同年代の IPD 症
例の減少は実質的には認めらないと考えられた。この所見に関して、定期接種率の
低下を含めた複数の要因の関与が推察されている 6)。
次に、2011〜2020 年に実施された肺炎球菌性肺炎の国内多施設共同研究におい
て、65 歳以上の肺炎球菌性肺炎の原因菌の PCV13 血清型の割合は 2011〜14 年の
55.5%から 2016〜20 年の 32.2%に減少したことが報告されている 7)。著者等は、こ
の減少は小児定期接種に PCV13 が導入されたためと結論している。また、2018〜20
年の 65 歳以上の肺炎球菌性肺炎の原因菌における PCV13、PCV15 血清型の割合は
38.5%、 43.3%であった。一方、同期間の PPSV23-非 PCV13 血清型は 18.4%(2011〜
14 年)から 12.7%(2016〜20 年)と有意な変化は認められなかった。
3)COVID-19 パンデミックの成人 IPD サーベイランスへの影響
厚生労働省研究班は COVID-19 流行後の成人 IPD の罹患率と臨床像の変化につい
ても解析した 8)。COVID-19 流行前(2017〜19 年)と比較して、流行後(2020〜2022

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