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【資料3】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状について(研究報告、今後の厚生労働省の対応)(報告) (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62310.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第96回 9/3)《厚生労働省》
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令和6年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)

コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査Ⅱ ー大阪府八尾市ー
研究分担者:国立国際医療研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター・センター長 磯博康 研究協力者:細澤麻里子、堀 幸、小林 知晃
研究目的:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状の長期的な影響(感染から24か月以上経過後の罹患後症状の状況、就業や就学への影響、社会経済状況への影響等)や罹患後症状が24か月
以上持続するリスク因子、罹患後症状に関する支援制度の利用状況について、罹患後症状の持続期間別や非感染者と比較し実態を明らかにする。

象:2023年度の調査*の回答者(八尾市在住で2024年8月時点にて20~71歳)
* 2024年1~2月に実施した、八尾市在住の19歳~70歳の感染者および非感染者7,404人を対象とする調査。

法:自記式アンケート(オンライン回答) 調査時期:2024年11~12月
罹患後症状の定義:感染者において、2か月以上持続し、かつ初回感染から3か月時点で有した症状
遷延する症状(遷延症状)の定義:非感染者において、2024年1月から回答時点までの間で2か月以上続いた症状

有効回答者数

罹患後症状が24か月以上続くリスク要因

感染者の罹患後症状の時系列推移(n=1,922)

アンケート送付:2024年8月時点で20~71歳の4,490人
有効回答者3,432人 (有効回答率 76.4%。感染者2,508人、非感染者924人)
感染者のうち、感染から24か月以上経過した者を抽出した。

感染から24か月時点に
おいて、いずれかの罹
患後症状を有したと回
答した者は67人
(3.5%)であり、割合は
経時的に減少した。

(なお、複数回感染者については、初回感染からの症状の有無について尋ねた)

感染者(感染から24か月以上経過)
1,922人

非感染者
924人

感染3か月時点で
罹患後症状あり
266人(13.8%)

罹患後症状
罹患後症状
6-11か月
3-5か月
46人(2.4%) 108人(5.6%)

罹患後症状
12-23か月
45人(2.3%)

回答者背景
3-5か月
(n=46)

罹患後症状
24か月以上
67人(3.5%)

罹患後症状なし
1,656人
(86.2%)

感染者(n=1,922)
罹患後症状あり (n=266)
6-11か月 12-23か月 24か月以上
(n=108)
(n=45)
(n=67)

Mean,
Mean,
(SD,%) n
n

平均年齢, 歳 (SD)
44.7 (13.0) 46.1
性(女性)
26 (56.5) 79
平均追跡期間,月(SD)
34.5 (4.3) 33.5
感染回数
1回
39 (84.8) 71
2回
4 (8.7) 34
3回
2 (4.3) 3
4回
1 (2.2) 0
COVID-19初回感染の重症度
無症状
0
(0)
1
軽症
39 (84.8) 92
中等症Ⅰ
1 (2.2) 2
中等症Ⅱ
1 (2.2) 1
重症
1 (2.2) 3
無回答
4 (8.7) 9
感染時期
4・5波(2021年3-12月)
11 (23.9) 9
6波(2022年1-6月)
31 (67.4) 99
7波以降(2022年7月以降) 4 (8.7) 0
感染前のCOVID-19ワクチン接種※
接種なし
14 (30.4) 22
接種あり(1回)
1 (2.2) 0
接種あり(2回以上)
31 (67.4) 86

Mean,
Mean,
(SD,%) n
n

(SD,%)

(SD,%)

遷延症状あり
82人
(8.9%)

遷延症状なし
842人
(91.0%)

罹患後症状
なし
(n=1,656)

非感染者 (n=924)
遷延症状 遷延症状
あり
なし
(n=82)
(n=842 )

Mean,
n

Mean,
Mean,
(SD,%) n
n

(SD,%)

44.6 (12.0) 44.1 (14.0) 46.7 (12.7)
1,052 (63.5) 49 (59.8) 527 (62.6)
33.3 (3.8)
-

(65.7)
(31.5)
(2.8)
(0)

34 (75.6) 48
9 (20.0) 18
2 (4.4) 1
0
(0)
0

(71.6)
(26.9)
(1.5)
(0)

1,254 (75.7)
356 (21.5)
44
(2.7)
2
(0.1)

(0.9)
(85.2)
(1.9)
(0.9)
(2.8)
(8.3)

1 (2.2) 2
34 (75.6) 49
6 (13.3) 1
3 (6.7) 5
1 (2.2) 4
0
(0)
6

(3.0)
(73.1)
(1.5)
(7.5)
(6.0)
(9.0)

(8.3)
(91.7)
(0)

23 (51.1) 27
21 (46.7) 39
1 (2.2) 1

(20.4)
(0)
(79.6)

27 (60.0) 33
0
(0)
0
18 (40.0) 34

95
(5.7)
1,425 (86.1)
6
(0.4)
13
(0.8)
2
(0.1)
115
(6.9)

-

-

-

-

(40.3)
(58.2)
(1.5)

192
1299
165

-

-

-

-

(49.3)
(0)
(50.7)

331 (20.0)
20
(1.2)
1,305 (78.8)

7 (8.5) 54 (6.4)
1 (1.2) 6
(0.7)
74 (90.2) 782 (92.9)

※非感染者においては、2024年11月時点の接種状況

罹患後症状が就業(学)
3-5か月
に及ぼす影響

経済状況への影響

働く(就学)時間が減った

感染者(n=1,922)
罹患後症状あり (n=266)
罹患後症状
6-11か月 12-23か月 24か月以上
なし
(n=46)
(n=108)
(n=45)
(n=67)
(n=1,656)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
6 (13.0) 12 (11.1) 4
(8.9) 12 (17.9) 122 (7.4)

非感染者 (n=924)
遷延症状
遷延症状
あり
なし
(n=82)
(n=842 )
n
(%)
n
(%)
11 (13.4) 78 (9.3)

休みがちになった

1

(2.2)

3

(2.8)

3

(6.7)

3

(4.5)

15

(0.9)

3

(3.7)

5

(0.6)

休職(学)した(現在も休職(学)のまま)

2

(4.3)

0

(0)

1

(2.2)

0

(0)

10

(0.6)

2

(2.4)

6

(0.7)

退職(学)したが、その後、再就職/再入学した

2

(4.3)

7

(6.5)

1

(2.2)

6

(9.0)

35

(2.1)

1

(1.2)

23

(2.7)

調整オッズ比 95%信頼区間
1.06
0.84-1.34
1.32

BMI, kg/m 2 (Ref=18.5-24.9)
18.5未満
1.61
25.0以上
2.25
基礎疾患(Ref=なし)
あり
2.97
感染回数(Ref=1回)
2回以上
1.19
感染時期(Ref=4-5波)
6-7波

0.37

0.73-2.38
0.64-4.04
1.25-4.06
1.71-5.16

*説明変数は、年
齢、性、感染前
のBMI、基礎疾患
の有無、COVID19初回感染時の
重症度、感染回
数、COVID-19ワ
クチン接種、
2021年の世帯収
入。

0.67-2.11
0.14-0.97

「罹患後症状なし」に対する「罹患後症状が
24か月以上持続」の調整オッズ比は肥満は2
倍、基礎疾患ありは3倍、感染時期は第6-7波
が第4-5波に比べて0.4倍であった。

罹患後症状に関する支援制度利用状況 ※

利用していない
労災保険
傷病手当
障害年金
身体障害者手帳
精神障害者保健福祉手帳
高額療養費制度
雇用保険の基本手当
生活困窮者自立支援制度
上記以外の制度を利用

(SD,%)

(12.6) 46.9 (12.4) 48.4 (10.5)
(73.1) 27 (60.0) 42 (62.7)
(2.0) 36.7 (4.6) 36.5 (4.3)

(11.6)
(78.4)
(10.0)

* 非感染者は、2021年
3月~回答時点までの
間で、24か月以上続い
た症状があると回答し
た者の割合を提示。

年齢(10歳加齢)
性(Ref=男性)
女性

罹患後症状あり (n=266)
3-11か月
12か月以上
(n=154)
(n=112)
n
(%)
n
(%)
133
(86.4)
91
(81.3)
1
(0.6)
3
(2.7)
3
(1.9)
4
(3.6)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
1
(0.9)
0
(0)
1
(0.9)
1
(0.6)
2
(1.8)
1
(0.6)
1
(0.9)
0
(0)
2
(1.8)

罹患後症状を理由
とした各種支援制
度の利用状況を尋
ねたところ、 罹
患後症状が3-11
か月持続したと回
答した者で5人
(3.2%)、12か
月以上持続したと
回答した者で11
人(9.8%)が何
らかの支援制度を
利用していた。

※療養期間終了後も症状が続くため利用した制度について尋ねた(複数回答可)
調整変数:性、年齢、2021年の世帯収入、雇用形態、基礎疾患、同居の有無

まとめ


感染者において、感染から24か月時点でいずれかの罹患後症状を有した

と回答した者の割合は3.5%であり、非感染者の24か月以上続いた症状
2019年と比較して2023年の世帯収入が
があると回答した者の割合(0.8%)より頻度が高かった。
「増加・不変」に対する「減少」の調整
➢ 罹患後症状が長期的に持続したことで、収入や主観的経済状況に負の影
オッズ比は、遷延症状なし群と比較して、
響を与える可能性がある。ただし、罹患後症状以外の社会的要因の影響
罹患後症状が12-23か月持続した群および
を受けている可能性があることに留意が必要である。
罹患後症状が24か月以上持続した群で有意 ➢ 罹患後症状が12か月以上持続したと回答した者の9.8%が何らかの支援
制度を利用していた。ただし、この結果から支援制度へのアクセスのし
に高かった。また、2019年と比較した現在
やすさや、制度の認定の妥当性を評価することはできない。
の主観的経済状況の「良化・不変」に対す ➢ COVID-19流行前と比較した現在の就業(学)の変化を尋ねたところ、
働く(就学)時間が減ったと回答した割合は罹患後症状が24か月以上持
る「悪化」の調整オッズ比は、遷延症状な
続したと回答した者で、遷延症状なしに比べて有意に高かった。
し群と比較して、罹患後症状が12-23か月
(研究の留意事項)感染者、非感染者ともに想起バイアスの可能性は否定できない。本研
持続した群および罹患後症状が24か月以上 究の罹患後症状は自覚症状に基づいてのみ評価し、医学的に診断されたものではないため、
他疾患に伴う症状やCOVID-19再感染による症状が含まれている可能性がある。本調査で
持続した群で有意に高かった。
は初回感染から持続する罹患後症状のみを評価している点に留意が必要である。

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