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【資料3】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状について(研究報告、今後の厚生労働省の対応)(報告) (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62310.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第96回 9/3)《厚生労働省》
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新型コロナウイルス感染症罹患後のME/CFSを発症する可能性について
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS):身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続
く状態をいい、その原因は、身体的なもの、精神的なものを含め分かっていない。
対象: 2023年度の調査に回答した、2021年3月以降(第4波以降)のCOVID-19感染者と非感染者
*DSQ-SF:DePaul Symptom Questionnaire-Short Form
調査方法(前ページまでと同じアンケート調査において実施):
ME/CFS等の症状評価に使われる質問紙。
**IOM基準:The Institute of Medicine 2015 diagnostic criteria for ME/CFS。
下記についてアンケート調査を行った。
米国医学研究所(IOM)が提唱したME/CFSの診断基準。
・DSQ-SF*のうち、 IOM基準**に当てはまる項目
・ME/CFSの中核症状である労作後の消耗(PEM:Post-Exertional Malaise)の持続時間(カットオフ値:ME/CFS患者の約9割が該当する「14時間以上」)
・IOM基準に合致する回答者を「ME/CFSに類似する症候あり」として定義し、PEMの持続時間とあわせて感染者・非感染者、罹患後症状のある者とない者で比較した。

結果
• 「ME/CFSに類似する症候あり」の者の割合は、感染者では八尾市の調査で0.56%、札幌市の調査で0.79%、非感染者では八尾市の調査で0.54%、
札幌市の調査で0.24%であった。「ME/CFSに類似する症候あり」かつ「労作後の消耗が14時間以上続く」と回答した者の割合は、感染者では八尾
市の調査で0.24%、札幌市の調査で0.62%、非感染者では八尾市の調査で0.08%、札幌市の調査で0.24%であった。
八尾市(成人)
非感染者

IOM基準合致、人(%)
IOM基準合致、かつ
PEMの持続時間が14時間以上、人(%)
a)



感染者
(n = 2,508)

(n=924)

n
14

(%)
(0.56)

n
5

(%)
(0.54)

6

(0.24)

1

(0.08)

p

札幌市(成人)
感染者
非感染者

(n=1,138)a)

(n=410)a)

p

0.18


9

(%)
(0.79)

n
1

(%)
(0.24)

0.41

0.46

7

(0.62)

1

(0.24)

0.88

IOM基準の質問項目への無回答者を除いた人数

八尾市の調査では、感染3か月後時点で罹患後症状を有したと回答した者は、罹患後症状がなかったと回答した者に比べて、 「ME/CFSに類似する症候あ
り」の者の割合と、「ME/CFSに類似する症候あり」かつ「労作後の消耗が14時間以上続く」と回答した者の割合は有意に高かったが、札幌市では有意差は
認められなかった。

新型コロナウイルス感染症の罹患後にME/CFSを発症する可能性について
• 住民調査においては、新型コロナウイルス感染症の罹患後に「ME/CFSに類似する症候あり」の基準に合致する回答者の割合は、統計学的な有意差
は認められなかった。また、いずれの群においても該当者が少ないことには留意が必要である。
研究の留意事項:
・ 各調査にて対象とした感染時期に新型コロナウイルスに感染した者を「感染者」、感染しなかった者を「非感染者」としている。
・ 一般的に回答率は症状のある者で高くなるという傾向(回答バイアス)があることから、罹患後症状を有した者の割合や、ME/CFSに類似する症状を有する者の割合の解釈には留意が必要である。
・ 感染者、非感染者ともに想起バイアスの影響は否定できない。
・ アンケート調査であるため、医師による鑑別診断(詳細な問診や身体診察および検査による他疾患の除外等)を行っておらず、他疾患による症状が含まれている可能性は否定できない。
・ 今回はIOM基準を用いたが、ME/CFSの診断基準自体がまだ定まっていない点は留意が必要である。

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