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(3)参考資料 (50 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20230529/zaiseia20230529.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史的転機における財政(5/29)《財務省》
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資料Ⅴ-4-3

教員採用倍率の低下①

○ 近年の大量退職を受けて採用者数が増加する中、教員の採用倍率は大幅に低下(小学校は2.5倍(過去最低))する中
で、質の高い教員の確保が課題。
○ 当面は定年延⾧により退職者の減少も見込まれるが、今後、少子化に伴って新社会人が減少していく見込みであることを踏まえる
と、なり手の確保が喫緊の課題。
◆受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移【小学校】
70,000(人)
60,000

12.5倍

受験者数

採用者数

前年度末退職者数

(倍)
14.0

40,636人

46,156人

50,000

競争率(右軸)

40,000
30,000
20,000

12.0
10.0
8.0

16,152人

3,683人

6.0
4.0

10,000

2.0

0

【受験者数】
この20年間で
概ね横ばい
【採用者数】
この20年間で
4倍以上
【採用倍率】
2.5倍

0.0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022

令和4年度の採用倍率(小学校)の全国平均は2.5倍となっており、14県では、2.0倍未満となっている。
(秋田県、福岡県:1.3倍、佐賀県、大分県:1.4倍、山形県、⾧崎県:1.5倍、福島県、富山県、宮崎県:1.6倍、山梨県、島根県、広島県、鹿児島県:1.8倍、
新潟県:1.9倍)
(出所)令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況に係る文部科学省調査を基に財務省で作成

◆採用倍率の低下がもたらす影響
・近年の、経済学の研究には、教員の「質」を高める政策の経済効果が極めて高いこと、教員の質が高まることの恩恵をもっとも大きく受けるのは社会経済的に不利な立場にいる子どもたちである
ことが示されている。こうしたことを踏まえれば、保護者の社会経済的地位による格差が拡大するわが国においても、教員の質を高めることは重要であるが、教育の「量」と「質」とはトレード・オフ
の関係にあるという有力な研究が存在している点には注意が必要だ。Jepsen & Rivkin(2009)では、カリフォルニア州で行われた学級規模の縮小について分析し、学級規模の縮小によっ
て、平均的に子どもたちの数学と国語の学力は上昇したものの、学級規模縮小のもたらす直接的なプラスの効果は、追加的に雇用された教員として経験が少ない質の低い教員が増加したことに
よってかなりの部分が失われ、質の低い教員の増加のマイナスの影響をもっとも強く受けたのは、黒人や貧困層の子どもたちであったことが明らかとなっている。
・日本で教員の「量」を増やすことを政策目標とした場合、短期的に教員の「質」が低下するという恐れはないか。そして、教員の働き方、処遇、マネージメント体制や人事評価のあり方などの改
善に手をつけることなく、目の前の仕事が多忙であるという問題を解決するために、ひたすら教員の数を増やせば、教員という仕事の魅力が低下し、優秀な人材が教員の市場に参入するこ
とを妨げるだけなのではないのか。
(『少人数学級はいじめ・暴力・不登校を減らすのか』2017.3 中室)