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参考1 (58 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.0版」の周知について(2/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.0 版 ●5 薬物療法

・中等度の腎機能障害(30 ≦ eGFR < 60)のある患者には,2 mg 1 日 1 回経口投与とする.
重度の腎機能障害(15 ≦ eGFR < 30)では 2 mg を 48 時間ごとに1回投与(最大 7 回まで)

なお,eGFR < 15 では投与しない.
・血栓塞栓予防を行うこと.

【トシリズマブ】(抗 IL-6 受容体抗体):2022.1.21

追加承認

SARS-CoV-2 による肺炎患者 4,116 人を対象に英国で実施された医師主導治験である
RECOVERY 試験(ランダム化非盲検試験)では,28 日目までの全死亡割合はトシリズマブ群
で 31%(621/2,022 例)であり,標準治療群の 35%(729/2,094 例)と比較し有意に死亡
割合が低かった.当該試験におけるステロイド薬併用有無別の全死亡割合は,ステロイド薬併
用ありの集団では本剤群で 29%(489/1,664 例)であり標準治療群の 35%(600/1,721 例)
と比較し死亡割合が低かったが,
ステロイド薬併用なしの集団では本剤群で 39% (139/357 例 )
であり標準治療群の 35%(127/367 例)を上回る死亡割合であった.
また,WHO において実施された SARS-CoV-2 による感染症の入院患者における全死亡と
IL-6 阻害薬投与との関連性を推定するためのメタアナリシス(27 のランダム化比較試験)に
おいて,標準治療またはプラセボを投与した患者に対する IL-6 阻害薬(本剤またはサリルマブ)
を投与した患者の 28 日目までの全死亡のオッズ比[95%信頼区間]は,
全体集団で 0.86[0.79,
0.95]
,ステロイド薬併用ありの集団で 0.78[0.69, 0.88]
,ステロイド薬併用なしの集団で
1.09
[0.91, 1.30]であった.このうち,本剤が用いられた 19 試験における当該オッズ比
[95%
信頼区間]は,全体集団で 0.83[0.74, 0.92]
,ステロイド薬併用ありの集団で 0.77[0.68,
0.87]
,ステロイド薬併用なしの集団で 1.06[0.85, 1.33]であり,ステロイド薬との併用下
で本剤投与により全死亡割合が低下することが示唆されている.
・Shankar-Hari M, et al. Association between administration of IL-6 antagonists and mortality among patients hospitalized
for COVID-19: A meta-analysis. JAMA 2021.

WHO は上記の知見などを踏まえて,2021 年 7 月にトシリズマブとサリルマブについては
酸素投与を要する入院患者にステロイド薬と併用することを新たに推奨した(死亡リスク低減
効果は 1,000 例あたり 16 例と推計).
〔投与方法(用法・用量)〕
通常,成人には,副腎皮質ステロイド薬との併用において,トシリズマブ(遺伝子組換え)
として 1 回 8 mg/kg を点滴静注する.症状が改善しない場合には,初回投与終了から 8 時間
以上の間隔をあけて,トシリズマブ(遺伝子組換え)
として 8 mg/kg を更に 1 回追加投与できる.
〔投与時の注意点〕
・酸素投与,人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院
下で投与を行うこと.
・海外医師主導治験は室内気 SpO2 が 92 %未満または酸素投与中で CRP 値 7.5 mg/dL 以上の
SARS-CoV-2 による肺炎患者を対象として実施され,副腎皮質ステロイド薬併用下で本剤の有
効性が確認されている.当該試験の内容を熟知し,本剤の有効性および安全性を十分に理解し
たうえで,適応患者の選択を行うこと.
・海外医師主導治験では副腎皮質ステロイド薬を併用していない患者において本剤投与により全
死亡割合が高くなる傾向が認められた.
・バリシチニブとの併用について,有効性および安全性は確立していない.
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