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公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.0版」の周知について(2/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.0 版 ●2 臨床像

2

臨床像

1. 臨床像
SARS-CoV-2 に曝露されてから発症するまでの潜伏期は約 5 日間,最長 14 日間とされて
きたが,オミクロン株では短縮される傾向にあり,中央値が 2.9 日,99% が 10 日までに発症
するとされる.感染後無症状のまま経過する者の割合は 20 ~ 30%と考えられる.濃厚接触者
などでは PCR 検査の陽性判明後に発症する場合もあることに注意する.
日本国内で 2020 年 1 月 25 日~ 2021 年 5 月 6 日までに入院した 770 例の患者(男性
57%,年齢中央値 51.0 歳,基礎疾患あり 35%)の積極的疫学調査によると,発症時の症状
は発熱(52%)
,呼吸器症状(29%)
,倦怠感(14%)
,頭痛(8%)
,消化器症状(6%),鼻
汁(4%),味覚異常(3%)
,嗅覚異常(3%)
,関節痛(3%)
,筋肉痛(1%)の順に多くみら
れた.インフルエンザや普通感冒と比較して,鼻汁・鼻閉は少なく,嗅覚・味覚障害の多いこ
とが COVID-19 の特徴と考えられてきたが,オミクロン株による感染では,ウイルスが上気
道で増殖しやすい特性に伴い,鼻汁,頭痛,倦怠感,咽頭痛などの感冒様症状の頻度が増加した.
また,嗅覚・味覚障害の症状の頻度が減少したと報告されている.
SARS-CoV-2 はまず鼻咽頭などの上気道に感染すると考えられる.オミクロン株出現以前
は,約 40% の患者は発症から 1 週間程度で治癒に向かうが,約 60% の患者では感染は下
気道まで進展すると考えられる.積極的疫学調査の対象で入院時に胸部単純 X 線写真と CT
画像がともに撮像された 161 例の うち,CT 画像でのみ異常陰影を認めた症例が 1/3 あっ
た(「3 胸部画像所見」の項参照)
.肺炎の症状(酸素飽和度の低下,高熱の持続,激しい咳な
ど)は発症から 1 週間程度で明らかになり,さらに約 20% の患者では酸素投与が必要とな
り,約 5% の患者が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に移行して人工呼吸器による治療を要する
と考えられる(図 2-1)
.日本における COVID-19 入院患者レジストリ(COVIREGI-JP)に
よると,流行初期(2020 年 3 月~ 7 月)に入院した 2,636 例の重症度内訳は,酸素投与な
し(62%),酸素投与あり(30%)
,人工呼吸器治療(9%)であった.合併症では血栓塞栓症
が COVID-19 の特徴の一つと考えられ,死因ともなりうる(
「4 合併症」参照)

重症の患者は高齢や肥満などのリスク因子を有することが多い(
「2 重症化リスク因子」参
照).小児は一般に軽症であるが,重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要があ
る(「5 小児例の特徴」参照)
.また,一部の妊婦も重症化しやすいと考えられる(
「6 妊婦例
の特徴」参照).昨今のオミクロン株による流行では,アルファ株やデルタ株が主体の流行と
比較して,酸素療法や人工呼吸管理を必要とする患者の割合が低下していることが報告されて
いる.また,オミクロン株では免疫からの逃避による再感染リスクが高いと報告されている.
国内で承認されている mRNA ワクチンは,オミクロン株に対しても,これらの重症化を防ぐ
効果が高く維持されていること,3 回目の追加接種により,その効果が増強されることが判明
している.

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