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資料2-5 重篤副作用疾患別対応マニュアル 進行性多巣性白質脳症(PML)(案) (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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亡率が 30~50%と、予後が極めて悪い自己免疫性脳炎であり

26)

、仮に救

命できたとしても重篤な後遺症を残す場合が多い。IRIS の発症には主に
CD8 陽性 T 細胞、一部の症例で CD4 陽性 T 細胞が深く関与していること
が報告されている 26)が、詳細な機序は不明である。MS 症例における IRIS
の診断は、MRI の造影効果のみでは判断が困難な場合があり、Yousry ら
は、ナタリズマブ関連 PML 症例の解析で、MRI 上の造影効果は 20 例中 17
例で認められたが、解析対象となった 40 例中 7 例のみで IRIS を発症し
たと報告している 27)。MS 患者におけるナタリズマブ関連 PML 患者が治療
により PML-IRIS を発症する病態に対し、ステロイド投与が治療後の EDSS
スコア(MS の身体障害度評価のスケール)を改善する可能性が示されて
いることより 28)、重篤な炎症を伴う IRIS を合併した場合はステロイドパ
ルス療法を考慮し(保険適用外)
、必要に応じてグリセオールやマンニト
ールなどの対症療法を併用する。これまでの薬剤関連 PML の解析より、
治療を要する IRIS の発症時には臨床症状の悪化が見られることが多い
ので、PML 治療経過中の臨床症状の変化には特に注意を払う必要がある。

7.症例の概要
(症例)40 歳代 女性
主訴:認知機能障害
現病歴:10 年前に MS の診断を受け DMD の投与を受けている。5 年前から
DMD としてフィンゴリモドの投与が継続されており、リンパ球数は 400/µL
前後、CD4 陽性 T 細胞数は 60/µL 程度に低下していた。有効性に関しては、
フィンゴリモド投与前は 1 年に1~2 回程度再発していたが、フィンゴリ
モド使用開始後の再発はなく、EDSS は 2.0 であった。X-1 月より、スマ
ートフォンの使い方がわからない、郵便番号の書き方がわからない、テ
レビのリモコンが使えない、自動車運転時に左に寄っていくなどの症状
が急速に進行したため、同年 X 月に当院当科を紹介受診となった。
当科初診時所見:一般所見;体温 36.5℃、血圧 116/ 72 mmHg、脈拍 96/ 分
整、全身理学的所見に異常なし.
神経学的所見:意識状態は清明で、GCS で E4V5M6 であったが、見当識に
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