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資料2-5 重篤副作用疾患別対応マニュアル 進行性多巣性白質脳症(PML)(案) (18 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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T lymphocytes: CTLs)による細胞性免疫が低下し、宿主において JCV の
増殖を抑制出来なくなることが PML 発症の大きな要因である

21)

。PML の

発症には、宿主免疫能低下という宿主側の要因の他に遺伝子再構成等の
遺伝子変異によるウイルス側の要因も関与していると考えられているが、
宿主免疫能低下が最も重要な発症リスク因子である。

5.判別(鑑別)が必要な疾患・病態
MS の DMD を使用している症例では、MS の再発と PML の発症を鑑別する
ことが必要である。鑑別において重要な点は、使用している DMD の種類、
使用期間、免疫抑制薬使用歴、抗 JCV 抗体価、リンパ球数等によりリス
クが異なることを踏まえて、
「3.早期発見と早期対応のポイント」の項
にある PML の初期症状や画像上の特徴を十分に理解し、定期的な外来診
療において臨床症状の変化(特に認知機能の変化や小脳失調の出現)に
注意する。疑わしい場合にはすぐに MRI(単純と造影)を撮影し、髄液
検査を行う。鑑別が難しい場合には、PML サーベイランス委員会に連絡
をすると委員会のサポート(画像所見や検査結果の判定)が活用できる。
鑑別が困難な場合に、脳生検による病理学的診断が必要となることも稀
ではなく、脳生検による診断により有効な治療が行われ、回復した症例
もいるので、必要な場合には躊躇せずに脳生検を行った方が良い。
悪性腫瘍に対する化学療法中の症例では、薬剤性白質脳症や転移性脳
腫瘍との鑑別、さらには悪性腫瘍に伴う Trousseau 症候群による虚血性
脳血管障害の鑑別が重要である。これらの疾患に関しては、臨床経過、
診察所見、頭部の CT・MRI(単純と造影)
、髄液検査、薬物血中濃度測定
などにより鑑別することができる。
造影効果などの炎症を伴った PML に関しては、近年増加しつつある薬
剤誘発性 PML も含めて、常に予後不良となるわけではなく、免疫システ
ムの秩序を失った過剰な炎症反応なのか、JCV に対する制御された炎症
反応であるかを鑑別することが治療方針を決める上で重要となる

22)

。薬

剤関連 PML が疑われた場合は、CD4 および CD8 陽性 T 細胞の状態を把握
することが望ましい。
※PML サーベイランス委員会・・・厚生労働省から委託され,国内発症の PML の疫学調査

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