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資料2-5 重篤副作用疾患別対応マニュアル 進行性多巣性白質脳症(PML)(案) (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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である。
PML の画像診断には MRI が用いられ、中でも FLAIR と SE 法 T2 強調像が有
用とされている。典型的症例では大脳を主体とした皮質下白質を含む白質の
大小不同・癒合した不整形 T2 高信号病変があり、多くの場合は浮腫や mass
effect を示さず、白質方向の病変辺縁は不鮮明で、増強されないことが多い
(「7.症例の概要」の図 3 および進行性多巣性白質脳症診療ガイドライン
2020 参照)。時に淡く増強効果を伴う微小嚢胞病変(milky way appearance)
や空洞化を伴う病変もある。大脳以外では小脳・小脳脚や脳幹のテント下病
変や灰白質病変を認めることもあるが、必ず白質病変を伴う。また、DWI で
の病巣辺縁部の高信号は急性や活動性の脱髄を反映する。MS 患者では既存の
脱髄病巣との鑑別が必要となるが、MS の慢性期病巣上にあらたに DWI 高信号
が見られる場合は PML の発生が示唆され、鑑別に有用である。分子標的薬投
与による PML の MRI 所見としては、1) 皮質下白質病変、2) T1 強調像低信号、
3) DWI 高信号、4) T2 強調像の点状高信号(punctate pattern)が特徴的と
されている。一方、免疫再構築症候群(immune reconstruction inflammatory
syndrome: IRIS、後述)を伴う PML の場合には、散在性の造影効果を有する
punctate pattern が特徴であり、分子標的薬投与による PML においても診断
能が高い 12)。PML が疑わしい画像病変がある場合は 3 週間から 1 ヶ月後のフ
ォローアップ画像検査が重要である。
PML の髄液診断では、JCV のゲノム DNA を検出する PCR 検査が有用である
13)

。CSF 中 JCV の PCR 検査は、脳生検と比較した場合に侵襲性が低く、感度

は 72-92%、特異度は 92-100%であることが報告されている 14)。また、PCR 検
査では一般的にリアルタイム PCR が用いられており、JCV DNA の検出下限値
は検体 1mL あたり 200 コピーもしくはそれ以上である場合が多い。PML にお
ける脳 MRI 病変サイズと JCV DNA コピー数には相関があり、病変が小さい場
合は JCV DNA が検出されにくくなる 15)。PML が疑わしい患者で、初回髄液 JCV
PCR 検査が陰性であった場合は、1 か月後に髄液再検査もしくは脳生検によ
る病理検査を検討する。髄液 JCV DNA が陰性でもフォローアップ画像でさら
に PML が疑われる場合は関連薬剤の変更・中止を検討する。

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