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資料2-5 重篤副作用疾患別対応マニュアル 進行性多巣性白質脳症(PML)(案) (17 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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(4) 臨床所見と臨床経過
PML は大脳、脳幹、小脳いずれの場所にも白質の脱髄変化が起り、そ
れを反映した多様な神経症状を呈する一方で、視神経、脊髄は侵されに
くい 16)。Maas ら 17)の報告では、運動麻痺 135 例(48.6%)、認知機能障害
120 例(43.2%)、構音障害 73 例(26.3%)、失調 67 例(24.1%)であった。
2016 年以降の本邦発症 PML の臨床症状のデータ(115 例)では、認知機
能障害 37 例(32.2%)、片麻痺 26 例(22.6%)、構音障害 20 例(17.4%)、
失語 18 例(15.7%)であった 1)。典型的な自然経過では、初発症状の週
単位での増悪に併せて、膀胱直腸障害や痙攣などの症状が加わり数ヶ月
の内に無言・無動となる 18)。

(5) 病理検査所見
組織学的には、オリゴデンドログリアの核は両染性のすりガラス状封
入体によって腫大し、時にドット状の核内封入体もみられ、髄鞘は脱落
する。アストロサイトは反応性に増生し、腫大した奇怪な核をもつアス
トロサイトが出現することもある。髄鞘破壊の程度に比べて軸索は保た
れるが、病変が高度の例では軸索も脱落する。破壊された髄鞘を処理す
るためにマクロファージが浸潤するが、リンパ球反応は乏しい場合が多
い。JCV の感染を証明する方法として、免疫組織化学染色による JCV タ
ンパク(VP1、VP2、VP3、Agno)の検出、電子顕微鏡によるウイルス粒子
の同定、in situ hybridization や PCR による JCV DNA の検出がある。

(6) 発生機序
PML の発症機構は、不顕性感染していた JCV が宿主の免疫能低下に伴
い再活性化し、中枢神経系の髄鞘形成細胞であるオリゴデンドログリア
に溶解感染することで、オリゴデンドログリアが傷害され脱髄巣が形成
される 19)。脳内に潜伏している JCV が再活性化して PML が起こるとする
説と、骨髄や末梢リンパ球に潜伏する PML 型 JCV が脳内に移行して増殖
することにより PML が起こるとする説があるが、最近は後者のメカニズ
ムがより支持されるようになってきている

20)

。いずれの説においても、

中枢神経系における免疫機能不全によって細胞傷害性 T 細胞(cytotoxic
16