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資料2-5 重篤副作用疾患別対応マニュアル 進行性多巣性白質脳症(PML)(案) (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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を行い,PML の可能性のある症例に関して相談を受け付け,必要に応じて画像診断や髄液検
査をサポートしている組織

6.治療方法と治療における注意点
現在のところ PML に対して確立した治療法はなく、薬剤関連 PML の治
療の基本は、PML 診療ガイドライン 2020 でも述べられているように、誘
因薬剤(特にステロイドや DMD)の減量または中止によって、宿主の免
疫学的回復をうながすことである(PML 診療ガイドライン 2020, CQ4)1)。
ナタリズマブ関連 PML では、以前は薬剤中止と血漿浄化療法が推奨され
ていたが、血漿浄化療法は生命予後および転帰改善に無関係であること
より 23)、現在では推奨されていない。加えて、in vitro で JCV の増殖抑
制が報告

24)

されているメフロキン塩酸塩の投与(PML 患者を対象とした

概念実証試験では髄液中 JCV DNA 量や臨床的予後への効果は否定 25))、か
つセロトニン受容体拮抗薬で JCV の細胞への侵入を抑制することが期待
されているミルタザピン、リスペリドン、アセナピンを適宜使用するこ
とが推奨されている(PML 診療ガイドライン 2020, CQ4)1)。ただし、い
ずれの薬剤も PML に対しては適応外使用となる。
薬剤関連 PML では、無症候性の段階で徴候を見いだして治療を開始す
ることが望ましいが、その際、後述する IRIS の出現には十分な注意を払
う必要がある。
一般的な PML では、宿主の免疫力が低下しているため、炎症反応を伴
わずに、神経系の細胞に JCV が感染し、細胞の核内で増殖した JCV が細
胞死と共に放出され、周囲の神経系細胞に拡散していく、いわゆる非炎
症性感染性脱髄性脳症の状態となっている。そのため、ウイルス感染に
対する免疫力を回復しなければ治療は成り立たないため、宿主免疫の再
構築は不可欠である。しかし、免疫力が低下した患者において PML を発
症した後に、combination antiretroviral therapy(cART)療法や、免
疫調節薬の強制的な除去により急速に宿主の免疫力が回復すると、免疫
反応の抑制的なコントロールが十分に機能せず、過度な炎症が誘発され、
IRIS と呼ばれる一種の自己免疫性脳炎が惹起され、非炎症性脳症の状態
から脳炎の状態へ移行、あるいは両者が混在する状態になる。IRIS は死
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