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資料1-2-11診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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196 ヤング・シンプソン症候群
○ 概要
1.概要
ヤング・シンプソン(Young-Simpson)症候群は、1)特徴的な顔貌、2)精神発達の遅れ:中等度から重度、
3)眼症状:眼瞼裂狭小を必須として付随する弱視・鼻涙管閉塞など、4)骨格異常:内反足など、5)内分泌
学的異常:甲状腺機能低下症、6)外性器異常、などを特徴とする先天異常症候群でヒストンアセチル化酵
素 KAT6B の異常を原因とするとされている。現在まで 30 外性器・膝蓋骨(genitopatellar)症候群も KAT6B
の異常を原因とし、関連疾患としてまとめられる。現在まで 100 例近くの報告が確認されている。羊水過多、
新生児期の哺乳不良など、早期から生涯にわたっての医療管理を必要とする。国内でも、遺伝学的検査が
可能となり、変異陽性例が報告されている。
2.原因
2011 年にヒストンアセチル化酵素 KAT6B の異常が原因であることが判明した(Clayton-Smith, 2011;
Simpson, 2012; Campeau, 2012)。現在まで 30 例近くの報告が確認されている。しかし、多臓器にわたる病
態のメカニズムは、ほとんど解明されておらず、今後の課題でもある。
3.症状
診断基準は、以下の主要6症状からなる。1)特徴的な顔貌、2)精神発達の遅れ:中等度から重度、3)
眼症状:眼瞼裂狭小を必須として付随する弱視・鼻涙管閉塞など、4)骨格異常:内反足、膝蓋骨低形成な
ど、5)内分泌学的異常:甲状腺機能低下症、6)外性器異常:主に男性で停留精巣および矮小陰茎。補助
項目として、 羊水過多、新生児期の哺乳不良、難聴、行動特性、泌尿器系異常、遺伝子診断により

KAT6B 遺伝子に疾患特異的変異を検出することがあげられる。
主な合併症として、約7割で羊水過多を認める。新生児期の特徴は、出生後の軽度呼吸障害があり、哺
乳障害はほぼ必発である。哺乳力が弱く、鼻からよくミルクが出てくるなどといった症状に加えて、体幹の反
り返りが強くて直接授乳(母乳)が困難なことが多い。筋緊張の低下や後弓反張も認める。眼瞼裂は狭小で
ほとんど目は開けない。哺乳不良を多く認めるが、経管栄養が行われた場合には体重増加不良は目立た
なくなる。身長は正常かやや低い傾向にある。
感覚器としては、強度の弱視、難聴は多く、医療管理が必要な程度のものが多く、成人期の QOL に影響
しうる合併症である。機能的な問題点としててんかんの合併がある。精神発達の遅れは中等度から重度で、
表出言語は極めて乏しく、理解言語と表出言語の差が大きい。
4.治療法
対症療法が中心となっている。内反足では固定の他に手術治療を選択することも少なくない。先天性心
疾患についても同様である。眼科的評価は不可欠で、鼻涙管閉塞に対した処置や屈折異常に対しての眼
鏡処方なども必要である。早期の療育参加やリハビリテーションは重要である。甲状腺機能低下症に対し
ては甲状腺ホルモン投与などが必要。聴覚評価に基づき、補聴器も検討する。生涯にわたる医療管理はよ

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