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資料1-2-11診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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191 ウェルナー症候群
○ 概要
1.概要
1904 年にドイツの医師オットー・ウェルナーにより初めて報告された常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の遺
伝性疾患。思春期以降に、白髪、白内障などさまざまな老化徴候が出現することから、代表的な「早老症候
群」の一つに数えられている。ウェルナー症候群(Werner syndrome)は白内障や白毛、脱毛など、実年齢に
比べて「老化が促進された」ように見える諸症状を呈することから“早老症”と呼ばれる。
思春期以降に発症し、がんや動脈硬化のため 4050 歳半ば台で死亡する常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)
疾患で、日本の推定患者数は約 700〜2,000 名であり、世界の報告の6割が日本人であり我が国に多いと
される。原因遺伝子が 1994 年に同定されたが、早老機序は未解明、根治療法も未確立であり、多くの患者
が、難治性皮膚潰瘍に伴う下肢切断や悪性腫瘍、糖尿病のため、生命の危機又は死を免れても重篤な後
遺症に苦しんでいる。
2.原因
第8染色体短腕上に存在する RecQ 型の DNA ヘリカーゼ(WRN ヘリカーゼ)のホモ接合体変異が原因と
考えられている。しかし、何故この遺伝子変異が、本疾患に特徴的な早老症状、糖尿病、悪性腫瘍などをも
たらすかは未解明である。
3.症状
20 歳代以降、白髪・脱毛などの毛髪変化、白内障(両側性の場合が多い)、高調性の嗄声、腱など軟部
組織の石灰化、皮膚の萎縮や角化・潰瘍、四肢の筋・軟部組織の萎縮、高インスリン血症を伴う耐糖能障
害、性腺機能低下症などが出現する。また、低身長である場合が多い。
4.治療法
根本的治療法は未開発である。白内障は通常手術を必要とする。糖尿病に対しては一般にチアゾリジン
誘導体、DPP4 阻害剤、GLP1 作動薬などが著効有効性を示す。高 LDLC 血症にはスタチンが有効である。
四肢の難治性皮膚潰瘍に、保存的治療が無効な場合には、他部位からの皮膚移植を検討する。
5.予後
死亡の二大原因は動脈硬化性疾患と悪性腫瘍であり、かつては平均死亡年齢が 40 歳代半ばと言われ
てきたが、最近の研究により動脈硬化性疾患が著明に減少傾向であり、平均寿命が 10 年以上延長してい
ることが示された。

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