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資料1-2-11診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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192 コケイン症候群
○ 概要
1.概要
コケイン症候群(Cockayne syndrome:CS)は紫外線性 DNA 損傷の修復システム、特にヌクレオチド除去
修復における転写共益修復(転写領域の DNA 損傷の優先的な修復)ができないことにより発症する常染色
体潜性遺伝(劣性遺伝性遺伝)性の早老症である。1936 年にイギリスの小児科医 Cockayne により「視神
経の萎縮と難聴を伴い発育が著明に低下した症例」として最初に報告された。日光過敏症、特異な老人様
顔貌、皮下脂肪の萎縮、低身長、著明な栄養障害、視力障害、難聴なども伴う稀な疾患で、常染色体潜性
遺伝(劣性遺伝)形式で遺伝する。CS の本邦での発症頻度は 2.7/100 万人である。
2.原因
CS の責任遺伝子はヌクレオチド除去修復系に関わる CSA(5q12.1)、CSB(10q11.23)、色素性乾皮症
(xeroderma pigmentosum:XP)B・D・G 群の原因である XPB(2q14.3)、XPD(19q13.32)、XPG(13q33.1)の5
つである。本邦 CS 患者の責任遺伝子は 55%が CSA、30%が CSB であり、XP 遺伝子関連は 15%である。
これらの遺伝子異常により何故 CS に老人様顔貌、発育不全、栄養障害、眼症状などの多彩な臨床症状が
起きるのかは未だに不明である。
3.症状
光線過敏症、特有の早老様顔貌(小頭、目のくぼみ、皮下脂肪萎縮)、著明な発育・発達遅延、網膜色素
変性、感音性難聴など多彩な症状を呈する。各種症状は乳児期に出現し年齢とともに進行する。CT では
脳幹(特に基底核)の石灰化、MRI では脱髄性変化がみられる。CS は臨床的に I 型(古典型)、II 型(先天
性、生下時から著明な発育障害あり)、III 型(遅発型、成人発症)の3型に分類される。その他、色素性乾皮
症(xeroderma pigmentosum:XP)との合併型(XP/CS)もある。本邦でみられるCSはほとんどが I 型症例で
ある。典型例(古典型)では著明な発育不全、重篤な栄養障害がみられ、思春期までに完全に失明し聴力
を失う。関節の拘縮、筋緊張は年齢とともに徐々に進行する。患児は 10 歳を超えれば歩行困難で車椅子
生活となり、思春期には経口摂取が困難となり経鼻栄養や胃瘻が必要になる。う歯も好発する。転倒によ
る外傷に加え 15 歳前後からは腎障害、肝機能障害、心血管イベント、高血糖、呼吸器系・尿路系感染症の
合併に留意する。
4.治療法
CS は単一遺伝子疾患であるため根治的治療法はない。CS は紫外線からの遮光、補聴器や眼鏡の使用
に加え、栄養障害、感染、腎障害、肝障害、糖尿病などに対する対症療法が行われている。関節の拘縮、
筋緊張に対してはリハビリが有用である。
5.予後
CS 患者は経過中重篤な栄養障害、感染症や腎障害を合併しやすく、予後は III 型を除いて極めて不良で

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