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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●4 重症度分類とマネジメント

4 重 症
1

COVID-19 重症肺炎の特徴
○ COVID-19 肺炎には概念として L 型と H 型という2つの病態がある.

○ しかし,すべての症例が L 型あるいは H 型に分類されるわけではない.
○ いずれも高めの PEEP を要するが,呼吸療法や鎮静の対応が異なる.
○ 一部 L 型から H 型へ移行するが,移行したことの判定が難しい.

○ 個々の患者に応じた治療が重要で,集中治療の専門知識と監視体制が不可欠である.
【解説】

COVID-19 重症肺炎には概念として2つの病態がある.それぞれの特徴は,L 型はコンプラ

イアンス正常(low elastance),肺循環障害による低酸素血症(low V/Q ratio)

肺水腫なし(low
lung weight),リクルートする無気肺なし(low lung recruitability)の4つの L で,H 型は

肺水腫によりコンプライアンス低下 (high elastance),シャント血流増加による低酸素血症

(high right-to-left shunt),肺水腫のために重症 ARDS 並みの肺重量(high lung weight)

リクルート可能な含気のない肺(high lung recruitability)の4つの H で表現される.

2

気管挿管手技

急速に呼吸状態が悪化することに留意し,気道管理について幅広い経験をもった手技者(救

急専門医,集中治療専門医など)をあらかじめ治療チームに含める.さらに,気管挿管はエア

ロゾルが発生する手技であることに留意し,フェイスシールドあるいはゴーグル装着に加えて

空気感染予防策(N95 マスク装着)が必要である.また,エアロゾル感染のリスクを減らすた
めに,前酸素化に引き続き,鎮静薬,鎮痛薬および筋弛緩薬をほぼ同時に連続投与し,バッグ

マスク換気は行わない迅速導入気管挿管(rapid sequence induction:RSI)が選択され,
さらに,
直視下での挿管に比べ患者との距離が保て,口腔内を直接のぞき込まずにモニター画面を見て
挿管手技が行えるビデオ喉頭鏡の使用を考慮する.

3

COVID-19 重症患者への人工呼吸戦略

a )基本戦略

・ARDS に対する肺保護戦略を用いる

・地域の医療提供体制に支障がない限り,周囲への感染拡大を最小限とする呼吸療法を実施
する

b )肺保護戦略

・プラトー圧制限を行う

・換気圧制限;プラトー圧と PEEP の差を 14 cmH2O 以下にする
・pH ≧ 7.25 であれば高二酸化炭素血症を容認する
・1回換気量についてはタイプ別に対応する
・2 つのタイプに応じた PEEP 設定を行う

・過剰な自発呼吸努力に対しては筋弛緩を考慮する
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