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参考資料4.セルフメディケーション税制による 薬剤費抑制効果の検証(西川・大橋 RIETI Discussion Paper Series 22-J-039(2022)(独)経済産業研究所) (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59938.html |
出典情報 | セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会(第4回 7/25)《厚生労働省》 |
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𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑖𝑖,𝑡𝑡 は患者𝑖𝑖が𝑡𝑡期にアレルギー性鼻炎で医療機関へ受診した場合は 1、それ以外は 0 と
する 2 値変数である。𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃はセルフメディケーション税制導入の有無を示し、2017 年 1
月以降は 1、それ以外は 0 とするダミー変数である。同変数の係数である𝛼𝛼1については、
患者がセルフメディケーション税制の導入を見越し、事前に受診行動を変化させた場合、
バイアスが生じることになる。例えば、2016 年 12 月にアレルギー性鼻炎の症状を自覚し
た患者が、翌月にセルフメディケーション税制が導入されるため、あえて同月の医療機関
への受診を控えた場合などである。ただし、後述の理由により、本稿の分析対象は毎年 2
~5 月とするため、即時の対応が重要となるアレルギー性鼻炎において、12 月における患
者の行動変化が、2 月まで影響を及ぼしている可能性は非常に低いはずである。
𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴は年齢を示す変数である。本稿で用いるデータセットは月レベルで作成しているた
め、年齢を月に換算した数値を用いた。𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆は分析対象者の性別を示すダミー変数で、男
性であれば1、それ以外は0とした。𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢、𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇は、それぞれ花粉飛散量、タイム
トレンドを示す変数である。図 1 より、医療機関への受診の有無において、花粉飛散量が
大きな影響を及ぼすことを示す結果が得られた。本稿では𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢を用いて、この影響をコ
ントロールする。なお𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢の数値は第 2 章の脚注 23 で示した手順に基づくので、分析対
象となる期間は、次節の医師の処方行動も含め、花粉飛散量を観測できる各年 2~5 月に限
定される。
タイムトレンドは、アレルギー性鼻炎の有病率が増加傾向にあることを踏まえ、モデル
に含めた。アレルギー性鼻炎の有病率を定期的に調査している松原等(2020)によると、
1998 年時点の有病率が 29.8%に対し、2008 年は 39.4%、2019 年は 49.2%と、毎回 10%ポ
イント程度増加している 27。アレルギー性鼻炎の有病率の増加は、医療機関への受診頻度
を高めると予想されるため、タイムトレンドを用いることで、この影響をコントロールす
る。
𝜇𝜇𝑖𝑖 は固定効果を示し、被保険者𝑖𝑖に固有の受診の有無に影響を及ぼすが、分期間を通じて
変化しない要因をコントロールする。𝛼𝛼は推定されるパラメータ、𝜀𝜀は誤差項である。なお
(1)式の被説明変数である𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉は 2 値変数であるため、ロジットモデルを用いて推定値を得
た。また、説明変数である𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴、𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢、𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇については 2 次項をモデルに含め、
𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇は対数変換した値を用いた。
4.2 医師の処方行動
セルフメディケーション税制がアレルギー性鼻炎薬の処方量に及ぼす影響を明らかにす
るため、医薬品市場を対象とした近年の研究である、Björnerstedt and Verboven(2016)
、
Dubois and Lasio(2018)を参考に、(2)式で示される離散選択型の需要関数を推定する。
27
本稿の分析対象である 2~5 月のアレルギー性鼻炎の中心となるスギ花粉症についても、有病率は 1998
年の 16.2%から 2008 年は 26.5%、2019 年は 38.8%と 10 年間で 10%ポイント程度増加している。
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する 2 値変数である。𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃はセルフメディケーション税制導入の有無を示し、2017 年 1
月以降は 1、それ以外は 0 とするダミー変数である。同変数の係数である𝛼𝛼1については、
患者がセルフメディケーション税制の導入を見越し、事前に受診行動を変化させた場合、
バイアスが生じることになる。例えば、2016 年 12 月にアレルギー性鼻炎の症状を自覚し
た患者が、翌月にセルフメディケーション税制が導入されるため、あえて同月の医療機関
への受診を控えた場合などである。ただし、後述の理由により、本稿の分析対象は毎年 2
~5 月とするため、即時の対応が重要となるアレルギー性鼻炎において、12 月における患
者の行動変化が、2 月まで影響を及ぼしている可能性は非常に低いはずである。
𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴は年齢を示す変数である。本稿で用いるデータセットは月レベルで作成しているた
め、年齢を月に換算した数値を用いた。𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆は分析対象者の性別を示すダミー変数で、男
性であれば1、それ以外は0とした。𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢、𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇は、それぞれ花粉飛散量、タイム
トレンドを示す変数である。図 1 より、医療機関への受診の有無において、花粉飛散量が
大きな影響を及ぼすことを示す結果が得られた。本稿では𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢を用いて、この影響をコ
ントロールする。なお𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢の数値は第 2 章の脚注 23 で示した手順に基づくので、分析対
象となる期間は、次節の医師の処方行動も含め、花粉飛散量を観測できる各年 2~5 月に限
定される。
タイムトレンドは、アレルギー性鼻炎の有病率が増加傾向にあることを踏まえ、モデル
に含めた。アレルギー性鼻炎の有病率を定期的に調査している松原等(2020)によると、
1998 年時点の有病率が 29.8%に対し、2008 年は 39.4%、2019 年は 49.2%と、毎回 10%ポ
イント程度増加している 27。アレルギー性鼻炎の有病率の増加は、医療機関への受診頻度
を高めると予想されるため、タイムトレンドを用いることで、この影響をコントロールす
る。
𝜇𝜇𝑖𝑖 は固定効果を示し、被保険者𝑖𝑖に固有の受診の有無に影響を及ぼすが、分期間を通じて
変化しない要因をコントロールする。𝛼𝛼は推定されるパラメータ、𝜀𝜀は誤差項である。なお
(1)式の被説明変数である𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉𝑉は 2 値変数であるため、ロジットモデルを用いて推定値を得
た。また、説明変数である𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴𝐴、𝐾𝐾𝐾𝐾ℎ𝑢𝑢𝑢𝑢、𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇については 2 次項をモデルに含め、
𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇は対数変換した値を用いた。
4.2 医師の処方行動
セルフメディケーション税制がアレルギー性鼻炎薬の処方量に及ぼす影響を明らかにす
るため、医薬品市場を対象とした近年の研究である、Björnerstedt and Verboven(2016)
、
Dubois and Lasio(2018)を参考に、(2)式で示される離散選択型の需要関数を推定する。
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本稿の分析対象である 2~5 月のアレルギー性鼻炎の中心となるスギ花粉症についても、有病率は 1998
年の 16.2%から 2008 年は 26.5%、2019 年は 38.8%と 10 年間で 10%ポイント程度増加している。
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