関連法制度の理解に加え、社会・集団において人の健康を脅かす様々な要因の解析、課題の
発見・解決を図る能力の修得に向けた実践的な学習目標を設定した。
３. 「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」を構成する中項目 E-1～E-4 にそれぞれ「社会的要因・環境
要因によって起こる疾病の予防・防止」、「食品衛生、食品安全」、「人の健康に影響を与える
化学物質、環境保全及び廃棄物の管理」及び「感染症の予防及び蔓延防止」に係る法制度と
その運用に関する小項目を設け、薬剤師が社会・集団の保健衛生、公衆衛生、環境衛生にお
いて果たすべき役割について深く考え実践するための学習目標を設定した。
４. 「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」の学修目標への到達を評価する指針として、＜評価の指針＞
を示した。本指針では、中項目 E-1～E-4 における学習目標に設定されている専門的な知識・
技能の修得にとどまらず、社会・集団における人の健康の維持・増進に貢献する薬剤師とし
て必要な人の健康を脅かす課題を発見し、その解決に向けた方策を立案・実施できる実践的
な能力の修得について評価する。

F 臨床薬学
１．明確な 6 年間の一貫した「臨床薬学」教育の目標を設定
旧版の「F 薬学臨床」では、病院・薬局での実務実習履修前に大学教育で習得すべき事項が
区別して明示されており、それに引き続き医療現場の実習で実際に体験して実践的な臨床能
力を向上させ最終的に卒業までに習得すべき目標が提示されている。今回の改訂案では、大
学、医療現場の区別はせず、入学してから卒業までに学生が身に付けるべき「薬剤師の臨床
能力」の目標を提示した。
２．「薬剤師業務ベース」の目標設定から「薬剤師として習得すべき能力、あるべき姿」の目標
設定
旧版の GIO・SBOs の目標設定では分かりやすいように薬剤師業務をベースに目標の設定を行
ったが、学習成果基盤型教育(OBE) への本格的移行を受けて、卒業時に「薬剤師として何が
できればよいのか」の目標設定を主眼として作成した。さらに、急激な薬剤師業務の質的な
変化に対応できる医療人材育成を目指して、薬剤師の臨床対応能力の根幹である「薬物治療
の主体的実践」「チーム医療・多職種連携への貢献」「医療マネジメント・医療安全の確保」
「地域医療・介護福祉、公衆衛生への貢献」の観点から目標を設定した。
３．将来を担う医療人材としての多様な課題に対応できる薬剤師の育成を目指すカリキュラムの
設定
「C 基礎薬学」、「D 医療薬学」、
「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」などの領域で学んできた知識
をどのように概念化・一般化して活用すればよいかを＜学習目標＞の設定に盛り込んだ。各
学習目標に対応する＜学習事項＞には他領域で学ぶ知識、医療現場で体験する事項を挙げ、
学習目標を具体的に把握しやすいようにした。また、医療人として相応しい適切な行動をと
ることができるという行為の目標も「F 臨床薬学」では多く、それに対応する＜学習目標＞＜
学習事項＞は、「A 薬剤師として求められる基本的な資質・能力」を基盤に、「B 社会と薬学」
等で提示された事項を医療現場等で実践できることを目標として設定した。また、薬学生の
能力や適性は個々に違い、薬学実務実習は「薬学臨床実習」として、臨床薬学の習得と評価
を行う重要な学習であるが、臨床である以上全ての学生に均等な学習機会が与えられる訳で
はない。しかしながら、その学生の能力・適性や現場の環境に合わせた適切な方略や評価を
実施することでモデル・コア・カリキュラムの目指す目標への到達が可能であることに鑑み、
大学、医療現場での具体的な学習対応の幅を確保できるような改訂を目指した。

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