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【資料1】次世代医療機器評価指標について (8 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58452.html |
出典情報 | 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会(令和7年度第2回 6/2)《厚生労働省》 |
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包括的高度慢性下肢虚血治療用医療機器の臨床評価に関する評価指標(案)
1.はじめに
生活習慣の変化、急激な高齢化に伴い下肢閉塞性動脈疾患(LEAD:Low extremity artery disease)
は経年的に増加してきており、今後 20 年間でさらに 30%から 50%の増加が見込まれると報告され
ている。欧米では虚血性心疾患が減少傾向であるという報告とは極めて対照的である。この LEAD
の下肢の予後は総じて良好であるものの、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI: chronic limb-threatening
ischemia)に陥ると下肢のみならず生命予後も極めて不良であり、特に透析患者において顕著であ
る。下肢の切断は生活の質に影響するのみならず、介護を含めた家族の負担増加にもつながる。今後
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も疾病構造の変化は持続すると考えられているため、国民医療、国民の生活の質向上の観点からも救
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性は満足できるものではないため、血管開存性向上を目指す医療機器の開発は下肢救肢率の向上、潰
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試験において留意すべき事項が定められた。
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肢は重要な課題といえる。
本疾患において血行再建術が救肢のために重要な役割を担い、自家静脈を用いた外科バイパス術
ならびにカテーテル治療は確立された治療戦略となっている 1)。しかし、カテーテル治療の血管開存
瘍治癒期間の短縮につながると考えられている。このため医療ニーズは高く、有効な医療機器が開発
されれば患者のみならず患者家族、医療経済上においても有益と考えられる。血行再建術の主たる目
的は創傷治癒であるが、血管開存性が創傷治癒と同義ではないことにも留意が必要である。このため、
治療用医療機器の有効性評価は複雑であり困難を極める。そこで、平成 25 年 5 月に次世代医療機器
評価指標として「重症下肢虚血疾患治療用医療機器の臨床評価に関する評価指標」が発出され、臨床
しかし、
この評価指標が定められてから 10 年以上が経過し、
この間に多くの臨床研究が実施され、
新たな概念や分類が報告された。いわゆる重症下肢虚血に加え下肢切断のリスクを有する糖尿病足
病変などの症例を包含し、CLTI と称されることとなった。WIfI 分類による患肢の重症度評価も提唱
された 2)。このため、医療機器の評価においても新たな考え方を導入する必要性に迫られている。実
際、この 10 年間で多くの臨床研究が行われてきたが、主要評価項目は試験によって異なっており一
貫した成績も得られていない。そこで、臨床的必要性が高い血行再建医療機器について、有効性、安
全性評価に関する必要事項及び臨床試験に際して留意すべき事項を定めた。
2.本評価指標の対象
本評価指標は、LEAD による CLTI に対する血行再建治療のための医療機器を対象とする。した
がって、CLTI に対する薬物治療、創傷治癒促進のための医療機器は対象としない。血管新生療法の
際に用いられる医療機器は広義には含まれるが、下肢動脈血管に直接介入する医療機器ではないた
め対象には該当しない。しかし、対象の選択、創傷治癒評価の観点において本評価指標は参考になり
えると考える。開発する医療機器が本評価指標の対象に該当するか判断が難しい場合には、必要に応
じて医薬品医療機器総合機構(PMDA)の相談制度を利用することが推奨される。
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包括的高度慢性下肢虚血治療用医療機器の臨床評価に関する評価指標(案)
1.はじめに
生活習慣の変化、急激な高齢化に伴い下肢閉塞性動脈疾患(LEAD:Low extremity artery disease)
は経年的に増加してきており、今後 20 年間でさらに 30%から 50%の増加が見込まれると報告され
ている。欧米では虚血性心疾患が減少傾向であるという報告とは極めて対照的である。この LEAD
の下肢の予後は総じて良好であるものの、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI: chronic limb-threatening
ischemia)に陥ると下肢のみならず生命予後も極めて不良であり、特に透析患者において顕著であ
る。下肢の切断は生活の質に影響するのみならず、介護を含めた家族の負担増加にもつながる。今後
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も疾病構造の変化は持続すると考えられているため、国民医療、国民の生活の質向上の観点からも救
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性は満足できるものではないため、血管開存性向上を目指す医療機器の開発は下肢救肢率の向上、潰
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肢は重要な課題といえる。
本疾患において血行再建術が救肢のために重要な役割を担い、自家静脈を用いた外科バイパス術
ならびにカテーテル治療は確立された治療戦略となっている 1)。しかし、カテーテル治療の血管開存
瘍治癒期間の短縮につながると考えられている。このため医療ニーズは高く、有効な医療機器が開発
されれば患者のみならず患者家族、医療経済上においても有益と考えられる。血行再建術の主たる目
的は創傷治癒であるが、血管開存性が創傷治癒と同義ではないことにも留意が必要である。このため、
治療用医療機器の有効性評価は複雑であり困難を極める。そこで、平成 25 年 5 月に次世代医療機器
評価指標として「重症下肢虚血疾患治療用医療機器の臨床評価に関する評価指標」が発出され、臨床
しかし、
この評価指標が定められてから 10 年以上が経過し、
この間に多くの臨床研究が実施され、
新たな概念や分類が報告された。いわゆる重症下肢虚血に加え下肢切断のリスクを有する糖尿病足
病変などの症例を包含し、CLTI と称されることとなった。WIfI 分類による患肢の重症度評価も提唱
された 2)。このため、医療機器の評価においても新たな考え方を導入する必要性に迫られている。実
際、この 10 年間で多くの臨床研究が行われてきたが、主要評価項目は試験によって異なっており一
貫した成績も得られていない。そこで、臨床的必要性が高い血行再建医療機器について、有効性、安
全性評価に関する必要事項及び臨床試験に際して留意すべき事項を定めた。
2.本評価指標の対象
本評価指標は、LEAD による CLTI に対する血行再建治療のための医療機器を対象とする。した
がって、CLTI に対する薬物治療、創傷治癒促進のための医療機器は対象としない。血管新生療法の
際に用いられる医療機器は広義には含まれるが、下肢動脈血管に直接介入する医療機器ではないた
め対象には該当しない。しかし、対象の選択、創傷治癒評価の観点において本評価指標は参考になり
えると考える。開発する医療機器が本評価指標の対象に該当するか判断が難しい場合には、必要に応
じて医薬品医療機器総合機構(PMDA)の相談制度を利用することが推奨される。
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