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総-1 医薬品の費用対効果評価案について[551KB] (14 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57671.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 総会(第608回 5/14)《厚生労働省》 |
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(セマグルチドにおける肥満症治療の継続率上昇効果)
イタリアの肥満症患者を対象に食事療法・運動療法の継続率を検討した臨床研究において、治
療早期の体重減少が食事療法・運動療法の高い継続率と相関したことから、製造販売業者は、比
較対照技術群と比較してセマグルチド群の食事療法・運動療法の継続率を高く設定した。しか
し、当該研究は、食事療法・運動療法を実施している肥満症患者において、体重減少と食事療法・
運動療法継続率の関連を検討したものであり、そこで示された治療早期の体重減少効果をセマ
グルチドによる治療継続効果としてモデルへ外挿することには課題があると考えられた。そこ
で、公的分析では、治療早期の体重減少と肥満症治療の継続率上昇に関係がないとした設定で再
分析を行った。
(生涯にわたる食事療法・運動療法の継続率)
製造販売業者は、セマグルチド投与期間において、一定の確率で肥満症治療(セマグルチド及
び食事療法・運動療法)から脱落することをモデルで設定した。一方で、セマグルチド投与終了
時点において、食事療法・運動療法を実施していた患者は、生涯にわたって食事療法・運動療法
を継続することを仮定した。しかし、セマグルチド投与終了時点において、食事療法・運動療法
を実施していた患者が生涯にわたって食事療法・運動療法を継続するといった十分なデータは
示されていなかった。そこで、公的分析では、その肥満症治療の継続率上昇効果が治療開始1年
後(治療期間終了)から 10 年目まで線形に減弱すると仮定して再分析を行った。
(生涯にわたる食事療法・運動療法の有用性)
製造販売業者は、セマグルチドの費用対効果分析において、食事療法・運動療法による生理学
的パラメータ(BMI、血圧、脂質等)の改善効果を考慮していた。この BMI、脂質等に対する食事
療法・運動療法の治療効果は、一定期間後は時間経過に伴う変化が設定されておらず、すなわち、
食事療法・運動療法の効果は、その介入が続いていれば、減弱することなく生涯にわたって治療
効果を保持することが仮定されていた。しかし、食事療法・運動療法の長期的効果のエビデンス
は限定的であることから、食事療法・運動療法の治療効果が治療開始1年後(治療期間終了)か
ら 10 年目まで線形に減弱すると仮定した再分析を行った。
製造販売業者から提示された論点は以下の通りである。
(食事・運動療法の継続率の上昇効果について)
食事療法・運動療法の継続率の設定は、公的・企業分析ともに一定の課題があると考えられる。
公的分析では、食事・運動療法の継続率が投与終了後に急速、かつ大幅に下がる設定になってい
る。つまり、
「本剤による治療(薬物治療)を行うと、食事・運動療法をやめやすくなる」仮定
が反映されている。このような仮定を支持する国内外のエビデンスは存在しておらず、臨床的に
も不自然な設定であると考えられる。一方で、食事・運動療法の継続率の設定は不確実性が高く、
エビデンスも不十分である。そのため、継続率(脱落率)の設定をモデルに反映させることには
限界がある。
治療期間後の食事・運動療法継続率については、企業分析では本剤群と対照群の継続率に差を
設けていないため、
「企業分析ではセマグルチド+食事・運動療法で得られた継続率の上昇が生
涯継続している」との公的分析の指摘には誤解があると考えられる。
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イタリアの肥満症患者を対象に食事療法・運動療法の継続率を検討した臨床研究において、治
療早期の体重減少が食事療法・運動療法の高い継続率と相関したことから、製造販売業者は、比
較対照技術群と比較してセマグルチド群の食事療法・運動療法の継続率を高く設定した。しか
し、当該研究は、食事療法・運動療法を実施している肥満症患者において、体重減少と食事療法・
運動療法継続率の関連を検討したものであり、そこで示された治療早期の体重減少効果をセマ
グルチドによる治療継続効果としてモデルへ外挿することには課題があると考えられた。そこ
で、公的分析では、治療早期の体重減少と肥満症治療の継続率上昇に関係がないとした設定で再
分析を行った。
(生涯にわたる食事療法・運動療法の継続率)
製造販売業者は、セマグルチド投与期間において、一定の確率で肥満症治療(セマグルチド及
び食事療法・運動療法)から脱落することをモデルで設定した。一方で、セマグルチド投与終了
時点において、食事療法・運動療法を実施していた患者は、生涯にわたって食事療法・運動療法
を継続することを仮定した。しかし、セマグルチド投与終了時点において、食事療法・運動療法
を実施していた患者が生涯にわたって食事療法・運動療法を継続するといった十分なデータは
示されていなかった。そこで、公的分析では、その肥満症治療の継続率上昇効果が治療開始1年
後(治療期間終了)から 10 年目まで線形に減弱すると仮定して再分析を行った。
(生涯にわたる食事療法・運動療法の有用性)
製造販売業者は、セマグルチドの費用対効果分析において、食事療法・運動療法による生理学
的パラメータ(BMI、血圧、脂質等)の改善効果を考慮していた。この BMI、脂質等に対する食事
療法・運動療法の治療効果は、一定期間後は時間経過に伴う変化が設定されておらず、すなわち、
食事療法・運動療法の効果は、その介入が続いていれば、減弱することなく生涯にわたって治療
効果を保持することが仮定されていた。しかし、食事療法・運動療法の長期的効果のエビデンス
は限定的であることから、食事療法・運動療法の治療効果が治療開始1年後(治療期間終了)か
ら 10 年目まで線形に減弱すると仮定した再分析を行った。
製造販売業者から提示された論点は以下の通りである。
(食事・運動療法の継続率の上昇効果について)
食事療法・運動療法の継続率の設定は、公的・企業分析ともに一定の課題があると考えられる。
公的分析では、食事・運動療法の継続率が投与終了後に急速、かつ大幅に下がる設定になってい
る。つまり、
「本剤による治療(薬物治療)を行うと、食事・運動療法をやめやすくなる」仮定
が反映されている。このような仮定を支持する国内外のエビデンスは存在しておらず、臨床的に
も不自然な設定であると考えられる。一方で、食事・運動療法の継続率の設定は不確実性が高く、
エビデンスも不十分である。そのため、継続率(脱落率)の設定をモデルに反映させることには
限界がある。
治療期間後の食事・運動療法継続率については、企業分析では本剤群と対照群の継続率に差を
設けていないため、
「企業分析ではセマグルチド+食事・運動療法で得られた継続率の上昇が生
涯継続している」との公的分析の指摘には誤解があると考えられる。
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