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総-1 医薬品の費用対効果評価案について[551KB] (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57671.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 総会(第608回 5/14)《厚生労働省》 |
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(心血管(CV)イベント発生後の長期費用について)
公的分析は、CV イベント発生後、3 年未満で死亡した比較的重度とみられる患者が系統的に除外
されているため、CV イベント費用は実際よりも過小評価されている。実際、重症例は CV イベント発
生から 1 年以内に約 5%が死亡するという報告があり、3 年未満に死亡で脱落する症例に費やされた
医療費が考慮されていない。
また、繰り返し事象を推計する手法として、非関連医療費を除くという点で Fukuda et al. の手
法を用いるのは妥当と考える。一方で、繰り返し事象の定義として、異質な「急性期 CV イベント」
と「慢性期 CV イベント」を同じ事象として扱っているのが統計的に不適切と考える。これにより、
慢性期の費用を過小推計する方向にバイアスが生じている可能性がある。
不安定狭心症の症例が心筋梗塞の症例より過大であり疫学データと逆の傾向を示していることか
ら、傷病特定の不適切性があると考える。また、より軽度の安定狭心症が含まれている可能性があり、
不安定狭心症に費やされる医療費が過小推計されていると考えられる。
また、脳梗塞が広く定義されており、今回の分析対象集団であるアテローム血栓性脳梗塞に絞られ
ていない。分析前協議において、脂質管理目標値として LDL-C 70mg/dL を目指すようなハイリスク
集団に絞ることで合意されていることを踏まえると、JAS ガイドラインに従ってアテローム血栓性脳
梗塞に対象を絞った費用算出をすべきと考える。
(集団(a)の割合について)
「自宅で自己注射を打つことについて抵抗や不安を感じている」あるいは「自己注射用の薬剤を自
宅野冷蔵庫等で保管することについて抵抗や不安を感じている」患者が除外されたが、これらは必ず
しも患者の指向性や治療へのモチベーションが低いからではなく、様々な合理的な背景があること
が考えられる。例えば医学的な理由(認知機能)や生活上の制約(同居家族の都合)などで難しいこ
とも多い。そのため、簡単に変えられるものではない。 また、こういった患者さんが環境やそれに
付随する治療アドヒアランスにとらわれず良好な LDL-C を維持できるようにすることが脂質領域で
の重要な課題であり、製造販売業者の用いた患者割合の方がより妥当と考える。
以上を踏まえ、専門組織で議論し、追加的有用性の評価及び心血管イベント発生後の長期費用につい
て、下記のとおり、公的分析結果が妥当であると考えられた。
アドヒアランスとアウトカムの関連に係るエビデンスが示されていないため、アドヒアランスを
追加的有用性として用いないことは妥当である。
インクリシランの有効性には民族差が確認されていないため、追加的有用性の評価において
ORION-15 試験のほかに海外の 4 試験を含めた公的分析は妥当である。
NDB を用いたパネルデータ分析の結果に基づいて設定された心血管イベント後の長期費用は妥
当である。
上記専門組織の決定について、製造販売業者から、アドヒアランスと心血管アウトカムとの関連性を示
す新データ、企業分析提出タイミングを考慮したデータ解釈の必要性、他品目(ユルトミリス)との整合性
という観点で公的分析の再評価について不服意見が出された。専門組織では、以下の通り議論され、企業
が提示した継続率の設定について一定の見解が得られるが、分析結果等については公的分析結果が妥当
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公的分析は、CV イベント発生後、3 年未満で死亡した比較的重度とみられる患者が系統的に除外
されているため、CV イベント費用は実際よりも過小評価されている。実際、重症例は CV イベント発
生から 1 年以内に約 5%が死亡するという報告があり、3 年未満に死亡で脱落する症例に費やされた
医療費が考慮されていない。
また、繰り返し事象を推計する手法として、非関連医療費を除くという点で Fukuda et al. の手
法を用いるのは妥当と考える。一方で、繰り返し事象の定義として、異質な「急性期 CV イベント」
と「慢性期 CV イベント」を同じ事象として扱っているのが統計的に不適切と考える。これにより、
慢性期の費用を過小推計する方向にバイアスが生じている可能性がある。
不安定狭心症の症例が心筋梗塞の症例より過大であり疫学データと逆の傾向を示していることか
ら、傷病特定の不適切性があると考える。また、より軽度の安定狭心症が含まれている可能性があり、
不安定狭心症に費やされる医療費が過小推計されていると考えられる。
また、脳梗塞が広く定義されており、今回の分析対象集団であるアテローム血栓性脳梗塞に絞られ
ていない。分析前協議において、脂質管理目標値として LDL-C 70mg/dL を目指すようなハイリスク
集団に絞ることで合意されていることを踏まえると、JAS ガイドラインに従ってアテローム血栓性脳
梗塞に対象を絞った費用算出をすべきと考える。
(集団(a)の割合について)
「自宅で自己注射を打つことについて抵抗や不安を感じている」あるいは「自己注射用の薬剤を自
宅野冷蔵庫等で保管することについて抵抗や不安を感じている」患者が除外されたが、これらは必ず
しも患者の指向性や治療へのモチベーションが低いからではなく、様々な合理的な背景があること
が考えられる。例えば医学的な理由(認知機能)や生活上の制約(同居家族の都合)などで難しいこ
とも多い。そのため、簡単に変えられるものではない。 また、こういった患者さんが環境やそれに
付随する治療アドヒアランスにとらわれず良好な LDL-C を維持できるようにすることが脂質領域で
の重要な課題であり、製造販売業者の用いた患者割合の方がより妥当と考える。
以上を踏まえ、専門組織で議論し、追加的有用性の評価及び心血管イベント発生後の長期費用につい
て、下記のとおり、公的分析結果が妥当であると考えられた。
アドヒアランスとアウトカムの関連に係るエビデンスが示されていないため、アドヒアランスを
追加的有用性として用いないことは妥当である。
インクリシランの有効性には民族差が確認されていないため、追加的有用性の評価において
ORION-15 試験のほかに海外の 4 試験を含めた公的分析は妥当である。
NDB を用いたパネルデータ分析の結果に基づいて設定された心血管イベント後の長期費用は妥
当である。
上記専門組織の決定について、製造販売業者から、アドヒアランスと心血管アウトカムとの関連性を示
す新データ、企業分析提出タイミングを考慮したデータ解釈の必要性、他品目(ユルトミリス)との整合性
という観点で公的分析の再評価について不服意見が出された。専門組織では、以下の通り議論され、企業
が提示した継続率の設定について一定の見解が得られるが、分析結果等については公的分析結果が妥当
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