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07 参考資料2-1 帯状疱疹ワクチン ファクトシート (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36248.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第21回 11/9)《厚生労働省》 |
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症を残しやすい。日本で実施された単一施設での顔面神経麻痺症例の後方視的検討(1976~1996 年)
では、顔面神経麻痺症例のうち小児では 16.7%(52/311 人)が、成人では 18.1%(319/1,765 人)が
Ramsay Hunt 症候群と診断されていた 28)。皮疹に先行して顔面筋の麻痺を発症する症例もある。また、
皮疹のない末梢性顔面神経麻痺の中に皮疹のない Ramsay Hunt 症候群が存在することも示唆されて
いる 29)。
・血管炎・梗塞
VZV による脳脊髄炎、髄膜炎の多くは、VZV 血管炎を伴う。さらに VZV の再活性化が原因で大
小血管の炎症が梗塞性病変を引き起こし、皮質、皮質下(特に深部白質、脳室周囲上衣)の梗塞と
卵形の壊死性、脱髄性病変を生じることがある。帯状疱疹後に一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞が
認められる場合がある 30)。症状として、急性の片麻痺や頭痛以外に、意識変容、失語症、失調、片
側知覚障害、半盲や片眼の盲が見られることがある。頻度は高くないが、動脈瘤やクモ膜下出血、
脳出血、頸動脈解離を起こすこともある 31)。
英国で self-controlled case series method により実施された、急性の心血管系疾患発症リスクの増大
に関する研究では、65 歳以上の帯状疱疹患者で帯状疱疹発症直後 1 週間における虚血性脳梗塞の罹
患率は 2.4 倍(Incidence rate(IR) 2.37、95% CI 2.17-2.59 )、心筋梗塞の罹患率が 1.7 倍(IR 1.68、
95% CI 1.47-1.92 )に増大していた 32)。また、スウェーデンにおけるコホート研究報告では、帯状疱
疹診断から 1 年以内は、脳梗塞のリスクが 0~39 歳の若年者において大きく増大することが示され
ている(Incidence rate ratio(IRR)10.3(95%CI 3.87-27.6)
)(表 4)25)。
VZV による血管炎は免疫不全者の帯状疱疹患者でより多く認められる 30)。また、脳脊髄液中の抗
VZV-IgG 抗体と PCR 法による VZV DNA の両方、もしくは片方の検出に基づいて VZV 血管炎と診
断された 30 人について調べた研究では、37%において帯状疱疹の皮疹を認めなかったと報告されて
いる 33)。
・髄膜炎・脳炎
帯状疱疹に関連する中枢神経合併症として髄膜炎が最も頻度が高いが、脳炎は比較的稀である。
その罹患率は1/10万人・年以下であるが25)、帯状疱疹入院例の2%前後を占めたとの報告もある24)。
・運動神経炎
時に、帯状疱疹に関連した神経麻痺の症状として、顔面神経麻痺、横隔神経麻痺、上肢、下肢の
麻痺、排尿障害(尿閉)
・排便障害が見られることがある。
・横断性脊髄炎
帯状疱疹に合併する横断性脊髄炎(VZV 脊髄症)には、VZV の脊髄への直接感染により急性期に
発症する場合と治癒後に発症する場合と 2 つの発症機序がある。帯状疱疹発症後数日から数週間後
に一相性に痙性麻痺をきたす。HIV 感染症や免疫抑制剤による治療中の症例などでは致命的となる
場合がある 34)。
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では、顔面神経麻痺症例のうち小児では 16.7%(52/311 人)が、成人では 18.1%(319/1,765 人)が
Ramsay Hunt 症候群と診断されていた 28)。皮疹に先行して顔面筋の麻痺を発症する症例もある。また、
皮疹のない末梢性顔面神経麻痺の中に皮疹のない Ramsay Hunt 症候群が存在することも示唆されて
いる 29)。
・血管炎・梗塞
VZV による脳脊髄炎、髄膜炎の多くは、VZV 血管炎を伴う。さらに VZV の再活性化が原因で大
小血管の炎症が梗塞性病変を引き起こし、皮質、皮質下(特に深部白質、脳室周囲上衣)の梗塞と
卵形の壊死性、脱髄性病変を生じることがある。帯状疱疹後に一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞が
認められる場合がある 30)。症状として、急性の片麻痺や頭痛以外に、意識変容、失語症、失調、片
側知覚障害、半盲や片眼の盲が見られることがある。頻度は高くないが、動脈瘤やクモ膜下出血、
脳出血、頸動脈解離を起こすこともある 31)。
英国で self-controlled case series method により実施された、急性の心血管系疾患発症リスクの増大
に関する研究では、65 歳以上の帯状疱疹患者で帯状疱疹発症直後 1 週間における虚血性脳梗塞の罹
患率は 2.4 倍(Incidence rate(IR) 2.37、95% CI 2.17-2.59 )、心筋梗塞の罹患率が 1.7 倍(IR 1.68、
95% CI 1.47-1.92 )に増大していた 32)。また、スウェーデンにおけるコホート研究報告では、帯状疱
疹診断から 1 年以内は、脳梗塞のリスクが 0~39 歳の若年者において大きく増大することが示され
ている(Incidence rate ratio(IRR)10.3(95%CI 3.87-27.6)
)(表 4)25)。
VZV による血管炎は免疫不全者の帯状疱疹患者でより多く認められる 30)。また、脳脊髄液中の抗
VZV-IgG 抗体と PCR 法による VZV DNA の両方、もしくは片方の検出に基づいて VZV 血管炎と診
断された 30 人について調べた研究では、37%において帯状疱疹の皮疹を認めなかったと報告されて
いる 33)。
・髄膜炎・脳炎
帯状疱疹に関連する中枢神経合併症として髄膜炎が最も頻度が高いが、脳炎は比較的稀である。
その罹患率は1/10万人・年以下であるが25)、帯状疱疹入院例の2%前後を占めたとの報告もある24)。
・運動神経炎
時に、帯状疱疹に関連した神経麻痺の症状として、顔面神経麻痺、横隔神経麻痺、上肢、下肢の
麻痺、排尿障害(尿閉)
・排便障害が見られることがある。
・横断性脊髄炎
帯状疱疹に合併する横断性脊髄炎(VZV 脊髄症)には、VZV の脊髄への直接感染により急性期に
発症する場合と治癒後に発症する場合と 2 つの発症機序がある。帯状疱疹発症後数日から数週間後
に一相性に痙性麻痺をきたす。HIV 感染症や免疫抑制剤による治療中の症例などでは致命的となる
場合がある 34)。
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