6 先進医療技術の科学的評価等について(先-6-2)[6.3MB] (104 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00111.html |
| 出典情報 | 先進医療会議(第149回 12/4)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示27>
子宮腺筋症病巣除去術
適応症
子宮温存を希望する、もしくは妊孕能温存を希望する子宮腺筋症患者
内容
子宮腺筋症病巣除去術は子宮温存を希望する子宮腺筋症患者に対して、妊孕性温存を目的として行う手術療
法である。開腹下に子宮腺筋症病巣を除去したのち、残存した組織を縫合・修復して子宮の形成・温存を行う。本技
術により、月経困難症・過多月経の症状改善に寄与することが報告されているほか、流産率低下や生児獲得率改善
の可能性がある。
(先進性)
本技術は、子宮腺筋症によって引き起こされる諸症状(月経困難症・過多月経、不妊症、流産、早産等)の改善と
妊孕性温存との両立する可能性を持つ唯一の外科的治療法であり、子宮腺筋症の治療において最も先進的な手
術手技であると言える。
(概要)
子宮腺筋症は30 代後半から50 代にかけて多い疾患で、子宮内膜に類似した組織が子宮の筋層の中にできる
病気である。子宮腺筋症の診断はMRI および超音波検査で診断し、最終的には摘出標本の病理診断で確定す
る。その発生頻度は、どのような疾患で摘出された子宮を検索したのか、どのような病理学的診断基準が用いられた
かなどに依存しているため、子宮摘出標本の20~60%と、報告によって大きくばらつきがある。子宮腺筋症は、月経
困難症、過多月経、不正性器出血などの自覚症状を訴え、不妊を合併することもしばしばある。
子宮腺筋症の治療選択肢には、薬物治療としては対症療法・ホルモン療法がある。手術療法としては、複雑に正
常子宮筋層内に入り込んだ子宮腺筋症病変だけを取り除くことは困難であるとされ、根治療法としては子宮摘出術
(子宮全摘出術、腟上部切断術)が選択肢となるが、妊孕性は廃絶してしまう(産婦人科診療ガイドライン 婦人科外
来編 2023)。その一方で、晩婚化・晩産化などの女性のライフサイクルの変化により、子宮腺筋症の好発年齢層に
あたる世代で挙児を希望する方が増えており、それに伴い妊孕性の温存を希望する子宮腺筋症患者への対応が問
題となっている。子宮温存をしつつ子宮腺筋症の治療をすることができる子宮腺筋症治療は、その重要な選択肢の
一つとなる。
子宮腺筋症病巣除去術は子宮温存目的として子宮腺筋症病巣のみを切除する手術療法であり、子宮腺筋症に
よって引き起こされる症状の改善と妊孕性温存との両立の可能を持つ。本技術では、開腹に子宮腺筋症病巣を除
去したのち、残存した組織を縫合・修復して子宮の形成・温存を行う。本技術は、1993 年にWood らによって初めて
報告がなされた後に多くの施設で施行され、日本国内でも2005 年に「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」
として先進医療A 告示番号1 番に認定をされてから2023 年に至るまでの18 年間、全国の6 施設で施行されてき
た。この間には、手術術式の進化に加えて、子宮腺筋症切除に際してのエネルギーデバイスや縫合糸の改良・MRI
検査による子宮腺筋症病変のより精密な把握が可能となった事などにより、手術手技は年々洗練されていると言え
る。
更に、術後の症状改善・妊孕能の改善を示す報告がなされてきたほか、本手術後妊娠の際に懸念されていた子
宮破裂に関する国内調査では、脳性麻痺や新生児死亡は報告されず、子宮腺筋症病巣除去術後妊娠では高次周
産期施設で注意深く周産期管理を行うことで対処が可能であると考えられる。また、本術式の施行により、子宮腺筋
症患者の周産期予後を改善させることや、周産期合併症の発生率を低下することができるのではないかといった
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