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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (29 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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図 3. 検診の便益と検診の費用の間の意思決定

1)合理的な意思決定に向けた情報提供
図 3 で示したような複雑なことを普通の人が(しかも定量的に)考えられるわけがないと思うかもし
れない。もちろん、こうした完全な合理性はあくまで議論の出発点である。
ただ経済学では、便益や費用に関する情報を十分に(つまり専門家と同じレベルの情報量で)
持っているのであれば、便益と費用それぞれの要素をどのように重視するかどうかはやはり人によ
るので、それは選択する人の価値観(経済学では選好と呼ぶことが多い)に任せるのが良いのでは
ないかと考えることが多い。
したがって、がん検診の意思決定についても、便益や費用についての知識が十分であるなら、
時間費用の大きさが私にとっては大事だから(時間がもったいないとかめんどくさいというのも時間
費用の大きさを示すのかもしれない)、偽陽性による精密検査の可能性が私にとっては大きすぎる
から、といった理由つまりある人の選好に基づいて受診しないのは合理的な意思決定の結果であ
ると解釈される。
もちろん、便益や費用についての情報提供や、検診が陽性になった場合など将来の結果につ
いて段階を追って説明することは、合理的な意思決定をスムーズにするために不可欠であろう。し
たがって、経済学の観点から見た SDM の第 1 の意義は、合理的な意思決定に向けた情報提供と
いえる。

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