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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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3. SDM の効果と Decision Aids の活用
SDM を推進する方法として、意思決定支援ツール Decision Aids(DA)が 1990 年代に欧米で開
発された。DA には印刷物、ビデオ映像、コンピューターやウェブ等の電子媒体が利用されている。
これまでの研究では、DA を使用すると、使用しない場合と比較して検診に対する知識が増え、参
加決断の葛藤が解消され、SDM が良好にできたと感じる人が増加することが検証された。また DA
を用いた SDM により、前立腺がん検診と乳がん検診については受診が減少し、大腸がん検診に
ついては受診が増加することが確認された。ただし、どのフォーマットがより優れるかという確かな
証拠はなく 1)、DA に使用した情報の内容や提示方法についての優劣を評価した証拠もない。
DA を用いた治療や検診のランダム化比較試験により、効果を検証した結果、知識の増加や情
報に基づき選択した方法が患者(受診者)の価値観とも一致することが確認された 2)。また、情報が
不足している状況で意思決定を行うことの葛藤や患者(受診者)が自らの価値観に戸惑うこと(優柔
不断な反応)が減少し、さらには意思決定に参加しない患者(受診者)の割合も減少したことが報
告されている。
文献
1)

Légaré F, Adekpedjou R, Stacey D, Turcotte S, Kryworuchko J, Graham ID, Lyddiatt A, Politi
MC, Thomson R, Elwyn, G. Donner-Banzhoff N. Interventions for increasing the use of shared
decision

making

by

healthcare

professionals.

Cochrane

Database

Syst

Rev.

2018;7(7):CD006732.
2)

Stacey D, Légaré F, Lewis K, Barry MJ, Bennett CL, Eden KB, Holmes-Rovner M, LlewellynThomas H, Lyddiatt A, Thomson R, Trevena L. Decision aids for people facing health treatment
or screening decisions. Cochrane Database Syst Rev. 2017;4(4):CD001431.

4. SDM の現状と課題
SDM は医療者・患者(受診者)の両者がかかわる医療の形成に欠かせないものの、一方でそ
の実践には両者ともに問題点を抱えている。また、SDM を推進する背景となる社会的・文化的課
題の他にも、医療を提供する体制や教育・啓発についても検討していく必要がある。
1)患者(受診者)
SDM には、患者(受診者)の理解を深め、意思決定プロセスの責任の一端を担うことについて
の自覚を持ってもらう必要がある 1)。SDM を必要とする人々はむしろ社会的弱者であり、複雑な専
門知識をなかなか理解しにくい。しかし、SDM に参加する患者(受診者)は教育レベルが高く、
若年者であることが指摘されている 2)。SDM に興味を持ったとしても専門知識やリスクの概念だけ
ではなく計算力や理解が乏しいゆえに SDM の参画を躊躇する場合もある。実際に専門知識を持
つ医療者と話し合うきっかけをつくることも容易ではない。この解決策として、SDM のきっかけを作
るということから、3 つの質問から始める「Ask 3 Questions」3)が提案されている。また、複雑で膨大な
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