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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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Ⅵ. 我が国におけるがん検診の情報提供や支援の考え方:研究班の成果から
1. 公衆衛生学的視点
がん検診は地域・職域における健常者が対象であり、医療機関で行う個別の対応とは異なる戦
略が必要である。がん検診受診率の向上に向けて、コール・リコール、リーフレットの作成やナッジ
の応用が検討されてきた。それらの複合的な効果もあり、がん検診の受診率はがん対策推進基本
計画の目標値には満たないものの増加傾向にある。しかし、受診意義は依然として十分には浸透
しておらず、一定層の未受診者への対応は十分に検討されていない。
諸外国とは異なり、我が国ではがん検診は集団検診を主体として提供されてきた。しかし、近年
では医療機関による個別検診が広まり、特に都市部では主体となりつつある。諸外国では、かかり
つけ医からがん検診の説明や提供を受けるのに対して、我が国では医療者からの説明や支援が
ないままに、自らががん検診の受診についての意思決定を下している。しかしながら、地域におけ
る受診率の低迷を見る限りでは、本来がん検診を受けるべき人々に正しい情報が行きわたらず、
受診機会を逸している可能性がある。これまでの受診率対策は対象者への一律アプローチにより
受診率向上を目指してきた。しかし、すべての人々が健康な生活を送ることが究極の目標であると
すれば、正しい情報が得られない、あるいはがん検診へのアクセスが困難である人々への支援策
の検討も必要となる。本研究班では、公衆衛生学、疫学、経済学などの観点から、がん検診の情
報提供や受診率対策についての検討を行い、我が国においてがん検診の SDM を進めるうえでの
基本的な考え方を提示した。
2. がん検診の情報提供や支援の考え方:がん対策推進基本計画からの検討
がん検診(がんの早期発見)はがん対策推進基本計画における重要な施策の一つである。第 4
期目に向けた基本計画策定プロセスにおける議論において、がん検診の充実が全体目標に示さ
れるとともに、受診率向上対策、精度管理、科学的根拠に基づくがん検診の実施の重要性が強調
されている。
第 3 期基本計画では、過去 2 期の取り組みを踏まえ、科学的根拠に基づくがん検診を組
織的に精度管理を行い実施していくこと、職域検診などと連携する重要性が強調されてお
り、推奨事項の抽出についても、実施体制に加え、普及啓発・DA、個別勧奨、精度管理・
事業評価、職域検診との協業の領域において新たな項目があげられた。
都道府県の比較においては、市区町村ごと、圏域ごと、あるいは年代・性別ごとの受診率
を把握したり、検診の理解、利益・不利益に関する意識調査に基づいて啓発に向けた計画
を記載している県も見られた。政策的な観点から、がん検診の意思決定支援ツールに必要な
視点として、以下の要素を取り入れることが望ましい。
1)住民の意向を踏まえた受診率向上に向けた課題を抽出する(意識調査の実施と分析)
「がん対策に関する世論調査」などで、「受ける時間がない」「健康に自信がある」「必要性を感じ
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