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09参考資料1-3 9価ヒトパピローマウイルス( HPV )ワクチン ファクトシート (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00024.html
出典情報 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第49回 10/4)《厚生労働省》
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いては通常加療は⾏われず、経過観察される。⼀⽅、CIN3 と呼ばれる⾼度異形成及び上⽪

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内がんに相当する段階では、浸潤がんの除外診断を兼ねた⼦宮頸部円錐切除術が⾏われる。

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⑥ 予防法

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LEEP( loop electrosurgical excision procedure )法と呼ばれる⾼周波電流を⽤いた切除法

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AIS、⼦宮頸がん( 扁平上⽪がん、腺がん )、外陰部上⽪内腫瘍、膣上⽪内腫瘍、肛⾨がん、

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もあるが、切除標本が断⽚化するため病変の同定が困難な場合がある。CIN2 と呼ばれる中

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肛⾨上⽪内腫瘍、尖圭コンジローマ (4 価・9 価 HPV ワクチンのみ) の発⽣を予防する。

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等度異形成に関しては海外では治療の対象であるが、我が国では経過観察を原則とする。た

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HPV が原因の⼦宮頸がんに対する治療ワクチンは実⽤化されていない。HPV 感染で起こる

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だし、我が国でも 1) 1-2 年のフォローアップにて⾃然消失しない場合、2) HPV16, 18, 31,

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CIN2/3 及び⼦宮頸がんの早期発⾒治療には、⼦宮頸部細胞診でのスクリーニングが有効で

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33, 35, 45, 52, 58 のいずれかが陽性の場合、3) 患者本⼈の強い希望がある場合、4) 継続的

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ある。

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な受診が困難な場合には治療を⾏うことができる。CIN2/3 に対してレーザー蒸散法による

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治療が⾏われることがあるが、レーザー蒸散法では術前に確認された病変以上の⾼度病変

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が潜在していた場合でも組織学的診断ができないという問題点がある。そのため、複数回の

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潜伏感染状態では HPV 抗原は殆ど産⽣されず、免疫系から逃れている。分化に連動する

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組織診で確認された CIN2/3 でなおかつ病変の全範囲がコルポスコピーで明瞭に確認でき、

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HPV 増殖でも、作られるウイルスは微量で、やはり免疫系を強く刺激することは無い。感

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頸管内病変がない場合に若い⼥性に限って⾏うことができる。

HPV ワクチンは、ワクチンに含まれる HPV 型の感染を予防することで、 CIN1/2/3 、

⑦ その他(病原体の⽣態、免疫学等)

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染者の⾎清中の抗 HPV 抗体価は⼀般に低い。HPV は男性⽣殖器にも感染し、陰茎上⽪内

⼦宮頸がんの治療は⼿術療法と放射線療法が主体であり、それらに化学療法が組み合わ

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腫瘍( penile intraepithelial neoplasia: PIN )及び陰茎がんの原因となる。男性での感染部

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される場合がある。微⼩浸潤扁平上⽪がんである Ia1 期ではリンパ節郭清を伴わない単純⼦

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位や感染⾃然史は不明な点が多いが、陰茎⻲頭、冠状溝、陰茎幹、陰嚢などから HPV DNA

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宮全摘術の対象であるが、妊孕性温存を希望する場合には厳重なフォローアップを条件に

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が検出されている(16)。ブラジル・メキシコ・⽶国の男性のコホート研究から、男性⽣殖器

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⼦宮頸部円錐切除術を⾏って⼦宮を温存することが可能とされている。ただし、Ia1 期でも

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からの HPV 検出率として、何らかの HPV: 50 %、⾼リスク型 HPV: 30 %が報告されてい

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腺がんの場合には⼦宮温存は慎重に選択する必要がある。⼀⽅、Ia1 期より浸潤の程度が深

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る(17)。また全世界の 30 スタディのメタ解析により、陰茎がんでの HPV 検出率: 47.9 %、

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い Ia2 期では 0-10 %のリンパ節転移が認められることから、⾻盤内リンパ節郭清を含む準

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HPV16,18 検出率: 36.7 %が報告されている(18)。

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広汎⼦宮全摘出術以上の規模の⼿術が⾏われる。

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Ib-II 期ではわが国では広汎⼦宮全摘出術が⾏われることが多いが、放射線療法も選択肢

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(2)国内の疫学状況(および諸外国における状況、国内との⽐較)

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として考慮される。腫瘍径が⼤きい場合には放射線療法に化学療法を組み合わせた同時化

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① 患者数(性年齢階級別、経年変化、地域分布等)

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学放射線療法( CCRT: concurrent chemoradiotherapy )が選択されることが多い。

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1)⼦宮頸がん

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III 期、IV 期については放射線療法が選択される。通常は治療効果の⾼い同時化学放射線
療法が推奨されるが、80 歳以上の⾼齢者などに対しては放射線単独療法を⾏う。

403

⾼リスク型 HPV の持続感染は⼦宮頸がんの最⼤のリスク因⼦であり、ほぼ 100 %の⼦宮

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頸がんで⾼リスク型 HPV の DNA が検出される。国際がん研究機関( IARC )のグループ

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CIN3 の腫瘍制御率は限りなく 100 %に近いと考えられている。適切な治療が⾏われた場

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の推計によると、2018 年に全世界で年間約 57 万⼈が⼦宮頸がんに罹患し、約 31 万⼈が死

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合の⼦宮頸がんの治療成績は⽇本産科婦⼈科学会治療年報( 2019 年 )によれば、早期浸潤

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亡している(19)。⼦宮頸がんの罹患率は、⻄アフリカ、南アフリカ、東南アジア、中南⽶、

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がんである Ia1 期の 5 年⽣存率は 99.3 %、I期全体では 92.9 %、II 期 75.5 %、III 期 58.2 %、

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カリブ海沿岸地域、東欧で⾼い(図 1)。開発途上国で罹患率が⾼く先進国で罹患率が低い

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IV 期 26.7 %である。

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傾向があり、その傾向は中⾼年層で顕著である(図 2)。北⽶、⻄欧、オーストラリアなど

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また、悪性度の低い HPV ( 主に HPV6 と HPV11 ) の感染によって発症する尖圭コンジ

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では、⼦宮頸がん検診の普及により、前がん病変段階での発⾒および治療が可能となり、⼦

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ローマに対しては、外科的切除や電気焼灼、凍結療法、レーザー治療など外科的治療法があ

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宮頸がんの罹患率は低く抑えられている。オーストラリア、北欧、北⽶などでは 2007 年ご

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る。また外陰尖圭コンジローマに対する薬物療法としては、イミキモド 5%クリーム( ベ

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ろから HPV ワクチンが順次導⼊された。これらの国ではワクチン接種世代において⼦宮頸

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セルナクリームⓇ:持⽥製薬 )が第⼀選択である。諸外国では 10-25%のポドフィリンアル

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部前がん病変の減少が⼀致して観察されており(20-23)、⼦宮頸がんの減少も観察され始め

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コール溶液や 0.5%ポドフィロックス溶液またはゲルの外⽤液が⽤いられるが、⽇本では発

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ている(24-26)。

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売されていない。また、5-FU 軟膏は 2008 年以降⽇本性感染症学会ガイドラインから削除

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されており、現在は推奨されていない。

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