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資料1-2-9診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (45 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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149 片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群
○ 概要
1.概要
痙攣性てんかん重積状態(多くは片側性)に引き続き、一過性または恒久的な片麻痺を残す片側痙攣・
片麻痺症候群を呈した症例において、後にてんかんを発症する症候群である。一般には4歳未満の小児に
おける非特異的熱性疾患に伴うことが多い。てんかんの発症は、片側痙攣・片麻痺症候群発症からおよそ
4年以内が多いとされる。合併症として、片麻痺の他に知的障害、精神行動障害を伴うことがある。
2.原因
非特異的感染症(多くはウイルス感染症)による発熱が契機となる片側大脳半球が優位に傷害される急
性脳症として発症することが多く、痙攣重積型脳症又は遅発性拡散低下を呈する急性脳症(AESD)の臨床
病型を呈する。その他に、動脈炎、頭部外傷、脳梗塞、プロテイン S 欠損症などの静脈性血栓塞栓症を原
因とすることや、代謝異常、脳血管異常などの既往を有する患者において、発熱を主症状とする非特異的
熱性疾患を契機に発症する。最近では、SCN1A や CACNA1A などの遺伝子異常も原因として報告されて
いる。
3.症状
発熱を契機に、痙攣性てんかん重積状態で発症する。痙攣は片側性又は片側優位であることが多く、そ
の後同側に弛緩性麻痺を呈し、この時点で片側痙攣・片麻痺症候群と診断される。麻痺は1週間以上持続
し、一部は一過性で改善するが、多くは恒久的に痙性片麻痺が残存する。特発性においては、頭部 CT・
MRI で急性期には責任病変側の大脳半球に浮腫を認め、慢性期には同側大脳半球が萎縮を呈する。
てんかんの発症は片側痙攣・片麻痺症候群の発症から4年以内が多く、発作型はほとんど焦点性発作
である。合併障害は、運動障害としての片麻痺の他に、知的障害、精神行動障害を伴うことがある。
4.治療法
根本的な治療はなく、対症療法が主体となる。急性期の痙攣性てんかん重積状態に対して、ベンゾジア
ゼピン系薬剤を中心とする静注用抗痙攣薬の投与、脳圧降下剤投与などの対症療法を行う。
慢性期のてんかんに対しては、抗てんかん薬による内服治療が行われる。薬剤抵抗性で難治の場合は、
機能的半球離断、迷走神経刺激を含むてんかん外科的治療、ケトン食を代表とする食事療法などが行わ
れる。運動障害の片麻痺に対しては、リハビリテーション、装具、ボトックスを含めた内科的治療、整形外科
的治療を行う。知的障害、精神行動障害に対しては、その重症度に合わせて必要な支援を行う。
5.予後
症例により様々で一定の見解はない。てんかんは各種治療に抵抗性で、難治性に経過することがあり、
長期の抗てんかん薬内服が必要となることが多い。片麻痺や知的障害に関しては、徐々に軽快し日常生
活に支障がない場合もあるがまれで、多くは適切な支援を必要とする。

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