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資料1-2-9診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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資料1-2-9
(診断基準等のアップデート案(見え消し))

138 神経細胞移動異常症

取扱注意

○ 概要
1. 概要
大脳皮質の形成過程における神経細胞移動(後)の障害によって生じた皮質形成異常である。狭義には
無脳回と厚脳回の古典型滑脳症を指すが、広義には異所性灰白質(皮質下帯状異所性灰白質と脳室周
囲結節状異所性灰白質)、多小脳回、敷石様皮質異形成、裂脳症、孔脳症を含む。
2. 原因
古典型滑脳症は LIS1、DCX、TUBA1A などの遺伝子変異が原因である。ミラー・ディカー(Miller-Dieker)
症候群は LIS1 から YWHAE までを含む染色体領域の微細欠失による隣接遺伝子症候群である。多小脳
回は GPR56 などの遺伝子変異の他に、先天性サイトメガロウイルス感染症、染色体微細欠失などが原因
となる。敷石様異形成は先天性筋ジストロフィー、国内では特に福山型先天性筋ジストロフィーに伴ってみ
られる。裂脳症や孔脳症では炎症性疾患、脳循環障害が想定されており、 COL4A1 遺伝子異常も報告さ
れている。
3. 症状
脳形成異常の程度により重症度が異なる。古典型滑脳症ではてんかん発作、特に点頭てんかんと低緊
張性の脳性麻痺、知的障害を併発することが多い。ミラー・ディカー(Miller-Dieker)症候群では、顔貌異常
(小頭だが広い額、側頭部の陥凹、四角い顔、短く小さい鼻、上向きの鼻孔、薄い上口唇、小顎、耳介低
位)を認め、他の内臓奇形を伴うこともある。皮質下帯状異所性灰白質ではてんかん発作と知的障害が主
体で、運動障害は少ない。脳室周囲異所性灰白質ではてんかん発作が主体であり、無症状の症例もみら
れる。多小脳回は、シルビウス裂を主体とする病変が半数以上の症例に認められ、構語障害、嚥下障害
などの偽性球麻痺症状の併発および知能や他の運動機能に比べて構語障害、嚥下障害などの偽性球麻
痺症状が強い(傍シルビウス裂症候群)。裂脳症や孔脳症は、様々な程度の運動機能障害、精神発達遅
延、てんかんを主症状とする。
4. 治療法
てんかんに対する薬物治療、発達障害に対するリハビリテーション、呼吸・栄養などの全身管理、遺伝相
談が基本となる。てんかん発作は難治であることが多く、薬剤が多剤多量になりやすいので、日常生活に
影響を与えず、生活の質を下げないことを目標とする。遺伝相談には脳 MRI による正確な画像診断が重
要である.遺伝性が疑われる場合は原因遺伝子解析が望ましい。
5. 予後
病変は基本的には非進行性である。外性器異常を伴う X 連鎖性滑脳症とミラー・ディカー(Miller-Dieker)
症候群の神経症状は、特に重度で全身状態も悪化しやすく、生命予後は不良である。

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